Samsung Displayのブースでは、「画素自体が発光する有機ELパネルだからこそできる省電力実現法」というユニークな技術的提案も行っていた。
多くのノートPCなどに採用される液晶パネルは、一部の例外を除きバックライト(光源)は画面の端に組み付けられており、ここから発せられる光を導光板を通して画面全体に拡散して光らせる構造になっている。
。そのため、基本的に映像の表示中は常時バックライトをオンにしておかなくてはならない。
一方で、有機ELパネルは画素自体が発光するようになっているため、原理的には画素単位で輝度を調整することもできる。
最近、上位モデルを中心に有機ELパネルを備えるノートPCも増えつつある中、同社が提案するのが、有機ELパネルの特性を生かした省電力ソリューション「A-ELP(Advacned Efficient Low Power)」だ。
たいそうな名前が付いてはいるが、A-ELPのアルゴリズムはシンプルで、画面の中央を明るく表示して、画面の外周に行くほど輝度を落として表示するというものだ。カメラや写真の世界で起きる「周辺減光」の効果を映像表示にも適用しよう、という発想ともいえる。
PCを使っているシーンの多くにおいて、人は画面の中央を凝視している。ゆえに、画面の外周に行くに従って輝度を落としたとしても、案外気が付かない。だったら、そういう制御をして省エネ化しよう――話を聞く限り、実際にそのような考えから生まれた技術のようだ。Webカメラなどを使った「視線トラッキング」ができる場合は、注視している所を一番明るくするという制御も行える。Samsung Displayによると、この技術を使うと最大で20%の消費電力の削減につながるという。
確かに、A-ELPの発想は合理的である。しかし、こうした制御は「ユニフォミティ(輝度均一性)」の観点からはあまり好ましくない。ユースケースによってはむしろ避けるべき表示手法だが、一般的なビジネスユースなら“アリ”なのかもしれない。
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