ボディーデザインだけでなく、SoCも「スペック違い」であることから、両モデルでは主要なコンポーネントが共通化されているものと思われる。しかし、両者にはSoCやストレージ容量以外にも機能差がある。その1つが無線LAN(Wi-Fi)が利用できる周波数帯だ。
Fire TV Stick 4K(第2世代)は「Wi-Fi 6」に対応している。具体的には2.4GHz帯と5GHz帯の無線LANを利用できる一方で、最近増えている6GHz帯の無線LANには対応しない。
それに対して、Fire TV Stick 4K Max(第2世代)は6GHz帯の無線LANも利用できる「Wi-Fi 6E」に対応している。最近は、都心部の集合住宅では2.4GHz帯だけでなく5GHz帯の無線LANもアクセスポイント(ルーター)の乱立でスループット(実効通信速度)が落ち込むことがある。そのような環境では、Wi-Fi 6E対応のアクセスポイントと組み合わせて導入すると、快適な通信を期待できる。
なお、両モデル共にオプションの「イーサネットアダプタ」を組み合わせることで有線LAN(100BASE-TX)での通信も可能だ。
動画のストリーミング再生を始め、主要な機能は両モデルで変わらず利用できる。しかし、「アンビエントディスプレイ」はFire TV Stick 4K Max(第2世代)限定で実装される。
アンビエントディスプレイは、アイドル時に2000枚以上(2023年9月1日現在)の名画/写真を表示したり、カレンダーを始めとする「Alexaウィジェット」を表示したりする機能だ。Alexaウィジェットは「Echo Show 15」を始めとする大画面のEcho Showシリーズに搭載されているものとおおむね同じものを利用可能だ。
……と、ここで1つ疑問が生じる。先述の通り、Fire TV Stick 4K(第2世代)とFire TV Stick 4K Max(第2世代)は、SoCの稼働クロックと内蔵ストレージ容量以外には大きなスペック差はない。ゆえに「Fire TV Stick 4K(第2世代)でもアンビエントディスプレイを実装できるのでは?」と思ってしまうのだ。
Amazonによると「アンビエントディスプレイは新機能なので、まずは最上位モデルである4K Maxから搭載した」のだという。機能への反応を見極めつつ、Fire TV Stick 4K(第2世代)を含む他のFire TVシリーズに水平展開するかどうか検討する考えのようだ。
4K対応の初代「Fire TV Stick 4K」は2018年に発売された。発売から約5年が経過しているということに驚きを隠せない。現行(初代)の「Fire TV Stick 4K Max」は、このモデルを置き換えるべく2021年に発売されたもので、発売から約2年経過している。
今回、4K対応の廉価モデルとしてFire TV Stick 4Kが“復活”し、その上位モデルとしてFire TV Stick 4K Maxも同時にモデルチェンジした。対応する映像フォーマットの差やソフトウェア更新の期限を鑑みると、特に初代Fire TV Stick 4Kからの買い換えは、そろそろ検討したいところだ。一方で、現行のFire TV Stick 4K Maxを使っている人は、急いで買い換える必要はないと考える。
問題は、4Kにするか4K Maxにするかだが、「16GBストレージ」「Wi-Fi 6E」「アンビエントディスプレイ」のいずれかが必要なのか否かで決めればよいだろう。
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