高級左手デバイスはどんな人に向いている? プロイラストレーターが「TourBox Elite」を試して分かったことある日のペン・ボード・ガジェット(2/5 ページ)

» 2023年10月13日 12時00分 公開
[refeiaITmedia]

突然の昔話:左手デバイスの走りでもある、失われたデバイス

 昔々、あるところに「マイクロソフト サイドワインダー ストラテジックコマンダー」というデバイスがありました。基本的にはRTS(リアルタイムストラテジー)系のゲームを効率よく操作するためのデバイスだと思いますが、これをイラスト制作の左手デバイスにする一派があったのです。

ToruBox Elite Tech 左手デバイス イラスト マイクロソフト サイドワインダー ストラテジックコマンダー(「SideWinder Strategic Commander」)

 発売が2000年で、「左手デバイス」という言葉が聞こえ始めるよりもずっとずっと前の時代です。当時では珍しい筆致を生かしたタッチと、美しいグラフィックスで尊敬を集めていたゲームメーカーでよく使われており、それを知って導入した人もいたと思います。

 ところがこのデバイス、比較的すぐに後継機も出ないまま生産終了になり、2006年にリリースされたWindows Vistaではドライバも提供されないという不遇な目に遭いました。使い込んでいた人には困った事態で、予備をたくさん買いこんだり、壊れたら自分で修理したりと、なかなか苦労されていた記憶があります。その名残は今も見ることができます。

参考:Littlewitch - BLOG

 これを見ていたのと、自分も「Corel Painter」で苦労した(詳細は省きますが察してください)のが、自分が制作環境に「供給・維持の安定」や「自作」を求めるようになり、爆発的に流行った「ペイントツールSAI」に素直に入っていけなかった理由です。

 ともあれ、TourBoxに関しては大企業の気まぐれというわけでもなく、実際に製品の更新を繰り返しながら本業としてしっかり続けているメーカーです。スイッチ類は耐久性が良さそうなパーツを使っていますし、OSが変わってドライバが動かないことも今はほぼ心配ありません。ストラテジックコマンダーのように簡単に失われる心配をすることもないでしょう。

本体をチェック!

 さて、与太話はこれくらいにして本体を見ていきましょう。ボタンの形や配置は視覚的には美しいとは言えませんが、理由があるんだろうというのは触らなくても想像できます。

ToruBox Elite Tech 左手デバイス イラスト 何度見ても不思議というか、忘れがたい形です

 実際に左手をかけてみると、縦長ボタンの凹凸が親指に「ホームポジション」を示唆してきますが、余計なサポートが無くて手を動かしやすく感じます。手自体をそこそこ動かしながら操作していくのを想定しているのでしょう。ただ、中央のダイヤルの背が高いのは、手が小さめの人は誤爆しやすそうです。

ToruBox Elite Tech 左手デバイス イラスト 手に触れる点が慎重に選ばれているような、楽なホールド感です

 スイッチやダイヤルは触ってすぐ「良いパーツをきちんと組み付けてあるな」と分かるぐらいの感触で、本体の剛性感も高いです。また、本体の重量も約420gとかなり重く、使っている間にずれていく心配もなさそうです。裏側には単三形乾電池(2本)のフタや電源スイッチ、Bluetoothボタンなどがあり、USB Type-Cケーブルまたは無線で利用できます。

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2024年05月09日 更新
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