さて、そろそろ実際の使用感です。今回は、自分なりの割り当てを作りつつ試していきました。
デフォルトの割り当てでは、CtrlやAltなどの装飾キーはボタン1個ずつに割り当ててありますが、自分がしたい操作に応じて「Ctrl+Alt+右クリック」や「Ctrl+スペース」などをそれぞれ1ボタンに割り当てるのも良いと思います。自分は後者が合っていました。
手触りや感触もよく、頻繁に使うキーを割り当てれば、製作中の多くの時間で高速な操作感を楽しめます。また、感心したのがスイッチやハプティックの物理的な感触と作動音です。カチカチと小気味良い耳へのフィードバックが、素早い操作を伴った自然な集中を導きやすいと感じました。
ただ、それでもなお、イラスト製作においてはキーボードショートカットに習熟した状態より、制作効率を上げるのはかなり難しいと思います。
3つのポイントがあります。
順を追って説明しますね。
まず、本製品がキーボードよりボタンが少ないのは一目瞭然です。これで十分の人も少なからずいるでしょうが、自分の場合、キーボードで長くやりすぎたこともあって手元にほしいボタンが多く、頻繁な操作を選んでTourBoxに登録したとしても、手がキーボードとTourBoxを移動するようになるだけです。そうまでして、左手のホームポジションをTourBoxに移動したいとはなかなか思えませんでした。
次に、ダイヤルが決定打になりにくいことです。本機はキャンバスの回転やズーム、ブラシサイズの変更などがダイヤルでできることを訴求しています。ですが、実際の操作感は少し遅かったり滑らかさに欠けたりします。そして、PhotoshopとCLIP STUDIO PAINTで共通に使える以下の操作
これらの方が素早く滑らかで、覚えた後は直感的に調節できます。また、ブラシサイズも「Ctrl+Alt+右ドラッグ」で変えられて、小さいブラシは調節が難しいですが、サイズをざっと変えたいときには便利です。
総じて、ダイヤルに割り当ててよさそうと思えるのはブラシサイズぐらいでした。イラスト用途では、「ペン」が常に手元にあって素早いポインティングやアナログ的な調節動作を助けており、ダイヤルの出る幕を奪っています。TourBoxの責任ではありませんが、そういう傾向にはなってしまいます。
マクロについては先に少し触れた通りです。細かい設定ができる本機の強みはありますが、アプリがマクロ機能を備えていたり、タブレットドライバや付属品にキーマクロの機能があったり、はたまたマクロ専用アプリなど、PCのイラスト製作においてはマクロの選択肢は元々豊富です。
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