Radeon RX 6600M搭載の小型PC「Minisforum HX77G」を試す ゲーム用途の実力は?(2/3 ページ)

» 2023年10月24日 12時00分 公開
[Yukito KATOITmedia]

ベンチマークテストで実力をチェック!

 少し前置きが長くなってしまったが、ここからはMinisforum HX77Gに搭載されているRyzen 7 7735HSとRadeon RX 6600Mの性能について、ベンチマークテストを通してチェックしてみよう。

 今回のテストの比較用として、下記構成のPCで測定したテスト結果をあわせて掲載するので、Minisforum HX77Gの性能を評価する上で参考値として捉えてもらえると幸いだ。

CPU AMD Ryzen 7 5800X
CPUクーラー Corsair iCUE H100i RGB PRO XT
マザーボード ASUS ROG STRIX X570-I GAMING
メモリ G.Skill F4-3200C16-32GTZN
グラフィックスカード MSI RTX 3060 Ti Gaming X Trio
SSD Seagate FireCuda 510 1TB
電源ユニット Cooler Master V850 SFX Gold
OS Windows 11 Pro

CINEBENCH R23

 まずは、3Dレンダリングを行いCPUの性能をテストする「CINEBENCH R23」を実行して、Ryzen 7 7735HSの実力を測ってみた。結果は以下の通りだ。

【マルチコア】

  • Ryzen 7 7735HS:1万1203ポイント
  • Ryzen 7 5800X:1万2335ポイント

【シングルコア】

  • Ryzen 7 7735HS:1483ポイント
  • Ryzen 7 5800X:1285ポイント

 Ryzen 7 7735HS、Ryzen 7 5800X共に、8コア16スレッドのCPUではあるが、Ryzen 7 7735HSはモバイル向けCPUと考えると、このスコア差には驚きを隠せない。マルチコアスコアはわずかにRyzen 7 5800Xが約10%ほど高いが、Ryzen 7 5800XのデフォルトTDPが105Wで、Ryzen 7 7735HSが最大54Wであることを考えると、ワットパフォーマンスの高さが光る。

photo CINEBENCH R23の結果

3DMark

 続いてRadeon RX 6600Mの実力を測るべく、3Dグラフィックス性能を測定できる「3DMark」の結果を確認していこう。各テストの総合スコアはそれぞれ以下の通りだ。

【Time Spy(DirectX 12ベース/WQHD描画)】

  • Radeon RX 6600M:8125ポイント
  • GeForce RTX 3060 Ti:11771ポイント

【Time Spy Extreme(DirectX 12ベース/4K描画)】

  • Radeon RX 6600M:3720ポイント
  • GeForce RTX 3060 Ti:5704ポイント

【Fire Strike(DirectX 11ベース/フルHD描画)】

  • Radeon RX 6600M:1万41ポイント
  • GeForce RTX 3060 Ti:1万3238ポイント

【Fire Strike Ultra(DirectX 11ベース/4K描画)】

  • Radeon RX 6600M:2517ポイント
  • GeForce RTX 3060 Ti:3867ポイント

 今回は、デスクトップ向けGPUのミドルハイクラスである、GeForce RTX 3060 Tiと、モバイル向けのRadeon RX 6600Mと比較するという割ときつめの比較を行ったが、思いの外健闘しており、どのテストにおいてもおおむねGeForce RTX 3060 Tiの7割ほどの性能を発揮できていることが分かる。

 今回の検証で利用した「MSI RTX 3060 Ti Gaming X Trio」の消費電力が240Wであるのに対し、Radeon RX 6600Mの消費電力が最大100Wであることを考えると、やはりRadeon RX 6600Mのワットパフォーマンスの高さが際立つ。

 CINEBENCH R23、3DMarkを通してCPUとGPUのパフォーマンスについて測定してみたが、CPUとGPUともにワットパフォーマンスの高さが非常に際立っており、1世代前のパーツで構成された、WQHD解像度で快適にゲームを行うモデルと比較しても十分に戦えるスペックに仕上がっていることが分かる。

photo 3DMarkの結果

FF14ベンチマーク

 3DMarkで良好な結果が出たとはいえ、実際のゲームでどれ位の実力を発揮できるのかと気になっている方もいるかと思うので、ここからは実際のゲームまたは実際のゲームと同じエンジンを利用するベンチマークテストを通じて、実際のゲームでの実力を測定していこう。以降はMinisforum HX77Gでのゲームプレイの実力を測るため、検証環境とは比較を行わずにMinisforum HX77G単体のテスト結果をまとめている。

 まずは「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を用いて、比較的動作の軽い物をテストしてみよう。今回は画質を「最高品質」設定とした上で、「フルHD(1920×1080ピクセル)」「WQHD(2560×1440ピクセル)」「4K(3840×2160)」の3パターンでスコアを計測した。各パターンでのテスト結果は以下の通りだ。

  • フルHD:1万6586ポイント(非常に快適)
  • WQHD:1万882ポイント(非常に快適)
  • 4K:5378ポイント(普通)

 AMDとしては、Radeon RX 6600Mは基本的に、フルHDをターゲット解像度として設定しているとのことだが、FF14であればWQHDでも非常に快適にゲームプレイができるのは結構魅力的だ。4Kに至ってはさすがに厳しいか、と当初考えていたが、結果としては「普通」との評価だったので、画質設定さえ少し下げれば4K解像度でも普通にプレイ出来そうなのが驚きだ。

FF15ベンチマーク

 FF14を難なくプレイできるのであれば、さらに必要スペックが高いFF15ではどうなるのか気になってくる。

 そこで、続いては「FINAL FANTASY 15 WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチマーク)」で、FF14ベンチマークの時と同じく、画質設定を全て一番高い「最高品質」にした上で、「フルHD(1920×1080ピクセル)」「WQHD(2560×1440ピクセル)」「4K(3840×2160)」の3パターンでスコアを計測した。各パターンでのテスト結果は以下の通りだ。

  • フルHD:5539ポイント(やや快適)
  • WQHD:4018ポイント(普通)
  • 4K:測定不可

 さすがに「FF15のベンチマークとなるとモバイル向けGPUだと厳しいか……、いじわるが過ぎたか……」と思いながらベンチマークテストを行ったのだが、結果としては想像以上に奮闘しており、良い意味で筆者の期待を裏切ってくれた。

 ただ4K解像度ではベンチマークテストが最後まで完走せずに途中でフリーズしてしまった。そこで、画質設定を一段下げた「高品質」に設定を変更した上で、再度「フルHD(1920×1080ピクセル)」「WQHD(2560×1440ピクセル)」「4K(3840×2160)」の3パターンでスコアを計測した。各パターンでのテスト結果は以下の通りだ。

  • フルHD:8215ポイント(快適)
  • WQHD:5725ポイント(やや快適)
  • 4K:3032(普通)

 この結果は正直脱帽だ。筆者は今デスクトップPC向けの外部GPUを評価しているのではなく、モバイル向けの外部GPUを評価しているのだ。それなのに、FF15ベンチマークの高品質設定の結果がすこぶる調子が良い。フルHDであれば、FF15の高品質設定でも快適にプレイできるのは、ユーザとしてはとてもうれしい結果といえる。

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