OSDメニューは本体左側面の4つのボタンで操作する。タッチ対応のモバイルディスプレイの中には、こうしたOSDメニューについてもタッチで操作できる製品とそうでない製品があるが、本製品はタッチには反応せず、ボタンでの操作となる。
このOSDメニューは、一般的なモバイルディスプレイのそれと比べると操作性にやや癖がある。例えばメインメニューはボタン一発で開くことができず、4つあるボタンのうち下3つのいずれかを押して次の操作を選択するメニューをまず表示し、そこから選択する仕組みになっている。ワンクッション挟むので、ややわずらわしい。
また多くのモバイルディスプレイは、メインメニューを開かずに明るさと音量を調節するためのショートカットが用意されている。しかし本製品はショートカットは1つしか用意されておらず、前述のメインメニューと同様、呼び出しまでにワンクッション挟む仕様になっている。
このショートカットは明るさと音量調整だけでなく、自動回転のオン/オフやブルーライト低減など計6つの機能から選択できる。これ自体はプラス要素なのだが、肝心の割り当て先が1つだけなので、明るさ調整に割り当ててしまうと他の出番はない。これがもし3つのボタンに3つのショートカットが割り当てられるようならば、選択肢の多さは利点になるのだが、現状はそうではない。このあたりは少々ちぐはぐだ。
ちなみに、本製品はWindows用のユーティリティー(DisplayWidget Lite)が用意されており、こちらはOSDメニューから操作できる内容を、PC上から行えるようになっている。OSDメニューが使いづらければ、こちらを使うのもよいだろう。
以上のように、機能はとびきり豊富な製品なのだが、昨今のトレンドであるパワーパススルー機能に対応しなかったり、OSDメニューの使い勝手がこなれていなかったりと、ちょくちょく気になる点もある。このあたりが許容できることが、まず製品選びの大前提となりそうだ。
価格については、同社直販のASUS Storeで税込み5万3820円、実売5万円台前半と、10点マルチタッチやペンも付属(直販で8778円)してペン入力も行えるといった付加機能を備えることからすると、妥当と言っていい価格だ。重量は少々あるものの、そのぶん頑丈さを感じるので、ただやみくもに重い製品というわけではない。そこは安心してよさそうだ。
もっとも、これら付加機能を必要としないのであれば、価格および軽さを優先して他の製品を選ぶという選択肢もあるはずで、10点マルチタッチやペン入力を利用する人向けの製品と言える。それら目的がきちんと合致していれば、充実した付属品も込みで、よい選択肢と言えるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.