ここからはベンチマークテストを通して、Crucial T500の性能をチェックしていく。
今回は、別のSSD(ソリダイム P41 Plus)を起動用ドライブとする自作PCをテスト環境として利用した。主な仕様は以下の通りだ。
テストに利用したのはCrucial T500の2TBモデルで、比較用に先代に当たる「Crucial P5 Plus」の1TBモデルも用意した。
まず、ストレージのベンチマークテストアプリとしては定番の「CrystalDiskMark 8.0.4」を使って、データの読み書き速度をチェックしてみよう。
今回は設定で「NVMe SSD」プロファイルを選択した上で、「デフォルト」と「All 0x00」の2種類のデータパターンで速度を計測した。
All 0x00のパターンでは、文字通り“ゼロデータ”(≒圧縮しやすいデータ)を生成する。そのため、SSDの設計によっては読み出し速度がカタログスペックよりも「かなり高速」となる。逆に、デフォルトパターンでは圧縮が難しいデータを生成するため、素のパフォーマンスをチェックしやすい。
シーケンシャル(SEQ1M Q8T1)とランダム(RND4K Q32T16)の実測結果は以下の通りだ。
公称値通りとまでは行かないが、シーケンシャルとランダムのどちらも毎秒7000MB近い読み書き速度を記録している。特に注目したいのがランダムアクセス時の速度で、先代のP5 Plusから大幅にパフォーマンスが向上している。普段使いでは、確実にT500の方が快適といえるだろう。
T500同士の比較では、ヒートシンク付きの方が公称値に近い速度を記録している。テストが後半にさしかかると、発熱による影響も出てくる。Crucial T500の本領を発揮させるには、冷却が重要だといえるだろう。
続けて、PCの総合ベンチマークテストアプリ「PCMark 10」と、3Dグラフィックスのベンチマークテストアプリ「3DMark」に内包されたストレージテストも実行してみた。
スコアの目安だが、PCMark 10なら2000ポイント以上、3DMarkなら2500ポイント以上が「高速なストレージ」となる。結果は以下の通りだ。
先代のP5 Plusと比較すると、T500のスコアは15%前後高い。PCI Express 4.0 x4接続の場合、PCMark 10と3DMark共に3000〜3500ポイントが理論上の限界になると言われている。
そのことを踏まえると、T500はPCI Express 4.0接続のSSDとしては「最高峰」と位置付けても過言ではなさそうだ。
Crucial T500は、PCI Express 4.0 x4の理論上の最高速度に近い読み書き速度を実現している。それでいて、公称値で消費電力当たりの性能を先代のP5 Plus比で最大40%改善したという。
テストの結果を見れば分かる通り、実際の読み書き、特にランダムリード/ライトのパフォーマンスはP5 Plusよりも確実に改善している。普段使いの快適性が上がるだけでなく、消費電力も改善するとなれば、とても優秀なSSDといえる。
昨今は、より高速な「PCI Express 5.0 x4」に対応するM.2スロットを備えるデスクトップPC(マザーボード)も増加傾向にあるが、ハイエンド製品が中心だ。ノートを含めて、多くのPCのM.2スロットはPCI Express 4.0 x4止まりとなっている。ある意味で、Crucial T500は現状における「一番現実的かつ快適なSSD」の1つであることは間違いない。
3〜4年前に購入したPCであれば、PCI Express 4.0 x4対応のM.2スロットを備えているのに、コストや消費電力の面から「PCI Express 3.0 x4」対応のSSDを搭載しているケースもある。その場合、このSSDにリプレースするだけで快適さは大きく増す。初期型のPCI Express 4.0 x4対応SSDを使っているユーザーも、消費電力の削減目的で本製品に換装してもいいだろう。
ともあれ、PCI Express 4.0 x4対応のSSDを探している人は、Crucial T500に注目してほしい。
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