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新登場「AI PC」の実力は? 日本エイサーのCore Ultraプロセッサ搭載「Swift Go 14」を試して分かったこと(3/3 ページ)

» 2024年01月11日 18時30分 公開
[マルオマサトITmedia]
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Swift Go 14のパフォーマンスをチェック!

 ここからは、Swift Go 14のパフォーマンスを検証しよう。

 本製品は、「AcerSenseユーティリティ」アプリからシステムの使用モードが選べるようになっている。今回は、特に言及がない限り「パフォーマンス」で統一してテストを行った。OS(Windows 11)の電源設定も、基本的に「最適なパフォーマンス」に設定している。

 参考として、2018年発売のビジネスノートPCに加えて、2022年発売のCore i7-1260P(基本消費電力28W)を備えたノートPCのスコアも掲載する。

テスト環境 テストに利用した環境
AcerSense 専用ユーティリティーアプリ「AcerSense」のシステム仕様モードは「パフォーマンス」として計測した
Windows Windows 11の電源設定は「最適なパフォーマンス」、バッテリーのテスト時のみ「トップクラスの電力効率」にしている

 CINEBENCH R23(最低実行時間10分)のCPUスコアは、マルチコアで1万2595ポイントとなった。基本消費電力(PBP)が28WのCPUとしては良いスコアではある。

 しかし、パフォーマンス重視の“Hシリーズ”のCPUだと考えた場合、PBPが45Wに設定されている「Core i7-12700H」や「Core i7-13700H」の水準スコアよりは低い。単純にCPUの性能“だけ”を見ると、微妙というのが正直なところだ。

CINEBENCH R23 CINEBENCH R23の結果
CINEBENCH 2024 参考に、本機では「Cinebench 2024」でも計測している。最低実行時間10分で計測した結果、マルチコアは824ポイント、シングルコアは103ポイント(MPレシオ8倍)だった

 一方、グラフィックス(GPU)の性能向上はめざましい。

 3DMarkの「Time Spy」のスコアは、Core i7-1260P搭載機の2倍以上で、FINAL FANTASY XIV:暁月のフィナーレベンチマーク(FF14ベンチマーク)でも1920×1200ピクセル(標準品質)で1万1000ポイント超と、これまでのCPU内蔵GPUからは一線を画す高スコアをマークしている。

 PCMark 10のスコアも、着実に良くなっていることが確認できた。

3DMark 3DMarkの主要テストの結果。Core i7-1260P搭載ノートPCよりも大幅にスコアが向上している
FF14ベンチマーク FF14ベンチマークの結果
PCMark 10 PCMark 10の結果
PCMark 10 本機では、PCMark 10を電源モード別でも実行している。静音さを優先する「サイレント」設定にしても悪くないスコアだ

 AcerSenseのモードを「通常」、Windows 11の電源設定を「トップクラスの電力効率」にして、画面輝度50%の状態でPCMark 10の「Modern Office Battery Life」を実行したところ、バッテリー残量が100%から6%になるまでの所要時間は11時間42分となった。

 動作音については、「パフォーマンスモード」では高負荷時はかなり大きな音になるものの、「通常モード」であればかなりマイルドになる。「サイレントモード」であれば高負荷時でも静音なまま利用できる。

 発熱の処理も優秀だ。高負荷時でも手がよく触れるパームレストに不快な熱が伝わってくることがなく、快適に使える。

バッテリー PCMark 10/Modern Office Battery Lifeのスコア。AcerSenseのモードは「通常」、Windows 11の電源設定は「トップクラスの電力効率」、画面輝度50%で測定している
動作音 システムの動作音。室温21度、暗騒音32.6dBの環境で、本体手前から5cmの距離で測定した
発熱 FF14ベンチマークの終了直前に「FLIR ONE」で撮影したサーモグラフィー(室温21度)。室温が低めとはいえ、全体に温度は低く保たれている

新世代CPUの魅力を感じられる14型ノートPC

 Core Ultraプロセッサを早くも搭載したことで注目されるSwift Go 14だが、テストの結果は上々といえる。

 CPUの純粋なパフォーマンスは目立つものではなかったが、グラフィックスを含めたトータル性能、そして電力効率の進化はしっかりと感じられる。その進化を生かして、本製品はパフォーマンスとモビリティー(持ち運びやすさ/バッテリー駆動時間)やユーザビリティー(発熱の低さ)を高次元で両立させている。画面の表示品質やAIを活用したカメラフェクトも魅力だ。

 冒頭でも触れた通り、日本向けモデルは21万9800円と価格もこなれている。いち早く新世代CPUの進化を体験したい人には、大きな魅力ある1台となっている。

 今の段階で持ち運びができるノートPCの購入を検討しているならば、最有力の候補となる製品の1つだろう。

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