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Windows 11“24H2”と「AI PC」の実際 Windows 12はどうなる?Windowsフロントライン(1/2 ページ)

» 2024年02月02日 12時00分 公開

 Windowsの大型アップデート周期が1年に1回になったが、Windows 11には2024年の後半に次の「24H2」がやってくる。前回も含めたびたび触れているが、このアップデートは内部開発コードで「Hudson Valley」と呼ばれており、かつて「Sun Valley」の名称で呼ばれていたWindows 11が登場して以来の大規模な変化となる。

Windows 11 2023 Update(23H2)のデスクトップ画面 Windows 11 2023 Update(23H2)のデスクトップ画面

次期Windows(大型アップデート)に備える

 “大規模な変化”というとユーザーインタフェースが大きく変わる印象があるが、おそらくはWindows 11からの大きな変化はない。Microsoft自身が「30年来の大きな変化」としているが、「Coplilot」キーの採用に見られるように、Windows上で動作するCopilotの各種機能がユーザーインタフェースの変化に大きくかかわってくる。

 一方で、Copilotの仕組みそのものは現行のWindows 11で既に搭載が始まっているため、24H2が適用された段階でルック&フィールが既存のものから大きく変化することはないだろう。むしろ前回の記事でも触れたように、Windows OSのベースそのものが内部的に変化しており、目に見えない部分で変化していると考えた方が正しい。

 実際、24H2は従来の大型アップデートとは異なるものになるとみられる。“大規模な変化”を象徴するものの1つがアップデートの仕組みだ。

 例えば、Windows Centralのザック・ボーデン氏は24H2のアップデート方式を「OS Swap Update」と呼んでいるが、実質的にWindows 11の従来のファイルの多くを比較的丸ごと入れ替えるレベルのアップデートになるとみられる。

 理由の1つとしては前回も解説した通り、現行で「Nickel(ニッケル)」と呼ばれるOSコアをベースにしているWindows 11が、24H2の世代では「Germanium(ゲルマニウム)」ベースのものになるとみられている。つまり、OSのベースが丸ごと新しい世代へと引き継がれる。

 ボーデン氏が自身の情報源からの話題として伝えるところによれば、Germaniumの開発は2024年4月のタイミングで“サインオフ”、つまり実質的な完成状態となり、これをベースにした24H2の提供開始に向けた開発がさらに進んでいく。

 24H2の提供は2024年後半となるが、いわゆる「AI PC」と呼ばれる前述のCopilotキーや、NPUを含む最新のAI機能に対応したPC群にはプリインストールの形で搭載され、6月にも提供が行われる見込みだという。

 前回のレポートでも触れたように、24H2の“General Availability(GA/一般提供)”のターゲットは9月が見込まれているが、実質的にAI PC向けの提供は一般提供タイミングであるGAに先行する形となる。

 興味深いのは、24H2の提供に向けたMicrosoft内での開発が活発化しつつある様子がWindows Insider Programからうかがえる点だ。

 前回、Germaniumの開発が行われているのはCanary Channelの「Build 26xxx」で示されるビルド番号であり、1月26日(米国時間)には「Build 26040」がCanary Channelに対して配布されている。

 ところが、Build 26040の配信が開始されてから少し後にNeowinが報告しているが、一般参加のあるCanary Channelとは異なるMicrosoft内部向けのCanary Channelにおいて「Build 27547」と呼ばれるビルドが出現したことを報告する投稿がX(Twitter)に行われて話題となった。

 これについて、ボーデン氏が自身のアカウントでフォローしているが、Microsoft内部の最新開発ビルドが“フォーク”、つまり分岐したことを意味する。

 この分岐した「Build 27xxx」は今後も最新技術を検証し、OSコアの開発を継続するためのビルドとして“カウント”を増加させていくが、「Build 26xxx」は正式に24H2の開発ビルドとして独立したということだ。

 今後、26xxxのビルド番号の付与された開発中ビルドは、そう遠くないタイミングでDev ChannelやBeta Channelへと配信されるようになり、24H2の早期体験が可能なChannelとして機能するようになる。

 なおBetaWikiでも触れられているが、「Build 27xxx」で開発されるOSのコアは新しいコード名「Dilithium(ダイリチウム)」が付与されている。

 こんな“トレッキー”な名称は最初何のことか意味が分からなかったが、ボーデン氏によればStar Trek(スタートレック)に登場する架空の物質のことだ。現在Windows OSコアの開発コード名は元素周期表に則って命名されているが、順当にいけば「Germanium(Ge:ゲルマニウム)」の次は「Arsenic(As:ヒ素)」となるはず。なぜ「As」が選択されなかったかについて同氏は「毒物は印象が悪い」という理由によるという。

WindowsのOSコアの世代管理は元素周期表にちなむ(画像はイメージです) WindowsのOSコアの世代管理は元素周期表がベースだ(画像はイメージです)

 「ところで、“Windows 12”はどこにいったの?」という方がいるかもしれない。これも前回触れた通り、現状でMicrosoftが24H2を「Windows 12」と呼ぶ可能性は低く、おそらくは「AI時代の(少し)大きなアップデート」みたいなアピールをしてくるとみられる。

 一方で、問題となるのはMicrosoftがこれを本当に「Windows 11向けの定期アップデート」のような形のアピールだけで終わらせるかどうかだ。Windows 12というキーワードは刷新をイメージするにはちょうどいいが、これを使わないとなると別の形でのマーケティング的メッセージが必要になる。AI PCの話題も含め、このあたりを少し分析していこう。

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