ロレスCEOの講演には、4社のパートナー企業のCEOがゲスト登壇した。そのうち、Intelのパット・ゲルシンガーCEOと、Qualcommのクリスチアーノ・アモンCEOは会場に駆けつけて“リアルに”登壇した。
トップを切って登壇したのは、IntelのゲルシンガーCEO。同氏はCore Ultraプロセッサ搭載の「HP Spectre x360」を持ってきて、「最近はこれがお気に入りで、実際にPCとして使っている」とリップサービスをすると、ロレスCEOがすかさず「みなさん覚えておいて、IntelのCEOがHPのPCを使っていると(笑)」とジョークで返すと、会場は大きな笑いに包まれた。
ゲルシンガー氏は自社が推進する「AI PC」について以下のように語り、PCそのものの在り方を変える存在となり得ることを強調した。
今のAI PCの動向は、「Centrino(セントリーノ)」が登場して、その3年後にWi-Fi(無線LAN)が当たり前になった時と同じようなものだと考えてほしい。Centrinoによって、どこに行ってもWi-Fiがあるのが当たり前となり、ノートPCを“ワイヤレス”で使うのが当たり前になった。
Centrinoの登場から20年が経過したが、もしかするとその間、PCはあまり進化していない、あるいは「少し退屈なデバイス」だと思われていたかもしれない。しかし、これからはそんなことはない。(AI PCによって)PCは退屈ではなくなる。
QualcommのアモンCEOは、2024年に登場するSoC「Snapdragon X Elite」について以下のように語り、同SoCがWindows PCのゲームチェンジャーになることをアピールした。
今私たちは、Windows環境をArmの命令セットに置きかえていこうとしている。Armの命令セットはスマートフォンから始まり、自動車、そしてサーバなどでも使われ始めている。PCも例外ではなく、これから従来のアーキテクチャからの切り替えが発生する。それはAppleがMacのSoC(Apple Silicon)をiPhoneのSoC(ベースのもの)に置きかえていったようなものだ。
これにより、ノートPCはより省電力になり、バッテリー駆動時間が改善する。また、私たちは「NPU(ニューラルプロセッサ)」を導入していく。CPUやGPUの性能を上げていくのはもちろんだが、それと同時にNPUを導入していくことで、AIを使っても十分なバッテリー駆動時間を実現していく。
一方、Microsoftのサティヤ・ナデラCEOとGoogleのサンダー・ピチャイCEOは、オンラインでのバーチャル登壇となった。両氏ともAI、特に生成AIがPCにもたらす“変化”を紹介した。
MicrosoftのナデラCEOは、自社の「Copilot」シリーズを念頭に、AI PCに関して以下のように語った。
AI PCはPCの再発明だ。AIは新しいユーザーインタフェース(UI)であり、自然言語やマルチモーダルなどを活用していくことで、ユーザーに新しいユーザー体験(UX)を提供していく。「Copilot in Windows」や「Copilot for Microsoft 365」などにより、ユーザーの生産性向上に貢献したい。
GoogleのピチャイCEOは、AIが変えるUXの可能性を語った。
Googleは「Gemini」を導入して、より使いやすいAIをユーザーに提供しようと取り組んでいる。これまでは、何かを作ろうとすると「Google ドキュメント」などを開いて文章を作るというやり方だったが、これからはミーティングアプリを起動すると、ミーティングのノートが自動で開くようになる。そういうコンピュータの体験が変わっていくパラダイムシフトが起こっていくと考えている。これからの12〜24カ月は、すごい勢いで“進化”していくと思う。
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