会場にはヘッドマウントディスプレイ(HMD)と、中で表示される映像を周囲の人も見られる外付けディスプレイが2セット設置されていた。HMD装着者が顔を動かすとディスプレイの映像が連動して、装着者の視点で映像を表示する。
VRで体験できるのは、冒頭で述べたようにH2Aロケットから切り離され、単独で月を目指すところやSLIMが月に着陸する瞬間だが、顔の向きを変えれば徐々に遠ざかるH2Aロケットや、これから行こうとしている月、またSLIM着陸時には“月”からその様子を眺められる。
TVのニュースやWebなどでは、SORA-Qが送ってくれる写真を平面でしか見られないが、VRであれば、「この瞬間、周囲はどうなっているのだろうか」と見渡すことができ、当たり前だが圧倒的な没入感を得られる。
イベントタイトルに「“月”から」という表記がある。これは、自分が月面に立っていて、その場所からSLIMの着陸の様子を観察できるという意味があるのだということに、体験してようやく気づいた。太陽と反対方向に伸びる月面に“自分の”影があり、「よくできているなぁ」と感心させられた。
ひっくり返って着陸してしまったことで、SNSでは「失敗かぁ〜」という落胆の声も聞こえてきたが、石田氏によれば「取得したい月のデータが取れるような向きで着陸してくれた。これからも、月の謎を解くデータを送り続けてくれると思うので、暖かく見守ってほしい」と語っていた。
「“月”から見る月面着陸VR体験」は、3月9日に人数限定での先行イベントが行われ、3月10日からゴールデンウィーク頃までMEToA Ginzaの3階イベントスペースで開催される。時間は午前11時〜午後7時までで、入場は無料だ。スマホを使ったロボット遠隔操作体験なども同時開催しているため、春休みなどに家族で訪れてみるのはどうだろうか。
※記事初出時、一部の名称を誤って掲載していました。おわびして訂正します(2024年3月11日午前1045分)。
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