HPは、同社の主力事業の1つであるプリンタ関連に関してもいくつか重要な発表を行っている。
まず、新しいSMB(中小規模ビジネス)用のカラーレーザープリンタとして「HP Color LaserJet Pro 3000シリーズ」を発表した。
それに先立つ2月29日(米国太平洋時間)に発表された、有料サブスクリプションサービス「HP All-in Plan」(月額6.99ドル:約1030円から)についても改めて説明された。HP All-in Planは、米国市場の家庭向けにプリンタとインクをサブスクリプションで提供するというものだ。
講演の後半では、“新しい”プリンタ用ソフトウェアに関する説明が行われた。これはAIを活用していることが特徴で、Windowsではプリンタドライバの中に機能が内包されるという。どこにAIを活用しているのだろうか……?
従来のプリンタドライバは「WYSIWYG(What you see is what you get)」、つまり画面上で“見たまま”を、そのまま出力(印刷)するという考え方に立っている。これは、現在に至るまで受け継がれてきた基本的な考え方だ。この観点に立つと、プリンタというものは「ユーザーが作成した(または見ている)ものを、忠実に紙面へと印刷するデバイス」ということになる。
しかし、新しいプリンタ用ソフトウェアは、その概念を完全に覆している。
今回のイベントのデモンストレーションでは、プロンプトで指示を出すと、印刷しようとしているコンテンツのレイアウトをプロンプトに従って調整する様子が披露された。例えば料理のレシピを説明しているWebサイトなどを印刷する際に、「画像を省いて手順だけ印刷して」といった指示をすれば、事前に加工することなく指示通りに印刷してくれるということだ。
従来、このようなことはプリントする前にコンテンツを自分で加工(編集)し、それから印刷する必要があった。この手間をAIに肩代わりしてもらえることは、ビジネスはもちろん家庭でも時間の節約につながるはずだ。
HPによると、この新ソフトウェアは2024年内の実用化を目指しているという。市場に投入されれば、プリンタの常識が大きく変わっていくことになりそうだ。
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