「ルンバ(Roomba)」はただのロボット掃除機ではない――アイロボットジャパン(iRobot)のルンバのユーザーには、新しいルンバを「お迎えする」と言い、利用中のルンバを「うちのコ」と表現する人が少なくないという。ペット、または我が子のようにいとおしく思うユーザーがいるのだ。
今まで働いてくれていたルンバに、感謝の気持ちを込めつつ、“おはらい”をしてお別れしたい――そんなユーザーのために、アイロボットジャパンが「2024 ルンバ感謝祭」を神田明神(東京都千代田区、※1)で開催した。
ルンバへの“おはらい”とはどのようなものなのか、そして参加したユーザーの心中は……? イベントの様子を紹介する。
(※1)神田明神の正式名称は「神田神社」で、周辺の108町会の氏神様として知られる
今回のルンバ感謝祭は、1年以上ルンバと暮らしてきたユーザー20組40人が参加した。小学生以下の子どもを同伴できるということで、数人の子どもの姿も見受けられた。
イベントでは、使わなくなったルンバをおはらいした後、神田明神に“お納め”することになる。ユーザーたちは家族のように接してきたルンバをそれぞれ持ち寄っており、中にはシールなどでデコレーションしてルンバへの感謝の気持ちを“見える”ように表している人もいた。
やがて時間がきて、巫女(みこ)による案内で各自ルンバを手にして儀式の行われる本殿へ向かう。ルンバとの“お別れ”の時間が迫る。
雅楽の演奏が響き渡る本殿にオーナーたちが着席すると、神職による祈祷でルンバがおはらいを受け、その後に華やかな「巫女舞」と「福鈴の儀」が行われた。
オーナーたちによる玉串拝礼の後、オーナーを代表して小学2年生の田中杏樹さんによる「ルンバあて感謝の手紙」の朗読が行われた。
手紙には、4歳の頃からずっと部屋を掃除してくれていたルンバに「ゆきちゃん」という名前をつけて家族のように大切にしてきたこと、ゆきちゃんがやってきた当初、幼い弟がルンバを怖がっていたものの、そのうち仲良くなっていったこと、ゆきちゃんとお別れをするのは寂しいが、新しいロボットにも名前をつけて仲良くなりたいという決意、それでも家族みんなが“ゆきちゃん”を忘れることはないだろう――そんな感謝がつづられていた。
なお、納められたルンバは、神田明神と同じ千代田区に本社を構えるリサイクル認定業者「リーテム」の東京工場に搬入され、資源として生まれ変わる。
オーナーにとっては「新しい姿になって、どこかで巡り会えるかもしれない」――そんな期待につながるだろう。
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