XREALのチー・シューCEOが来日したタイミングで、XREAL Beam Proのお話を聞いてきました。開発の背景には、XREAL Air 2シリーズの母艦デバイスが必要だったこと、ARグラスをより楽しむためのコンテンツをユーザー自身が作れる環境を提供したかったことの他に、「映画やライブ配信、Androidのゲームも、クラウドサービスでリッチなPCゲームもARグラスで楽しんでほしいという気持ちがありました」といいます。
そういったユースケースから、XREAL Beam Proのプロセッサとして選択したのがSnapdragon 6 Gen 1とのこと。スペックリストを見たときに「ミドルクラスのなかでも下位グレードのSoCで大丈夫だろうか」と思ったのですが、確かにエンタメを楽しむなら十分な性能でした。
負荷の高いバトルロワイヤルゲームの「PUBGモバイル」を起動してみると、HDクオリティーでも十分に戦えるだけのフレームレートが出ている様子でした。同じく高負荷なソーシャルコミュニケーションアプリである「VRChat Mobile」では、39人ものアバターが集まっている混雑インスタンスでもパーティクル演出が多いワールドも快適に動けました。Wi-Fi 6E/6GHz帯を使えばクラウドゲームで遊ぶときの遅延も感じ取れないほどです。
さすがに4K+4Kの空間ビデオのデータ量を記録しつづけられる処理能力はありませんが、ユーザーの要望が集まれば、ハイスペックなXREAL Beamも考えていくとのこと。そうなれば生成AI由来のサービスとの連携力が高まるでしょうし、ARグラスの活用シーンがさらに広がっていくのでしょう。
「第一世代としてリリースしたXREAL Beamは小さなモバイルバッテリーのような形状でした。第2世代のXREAL Beam Proはスマートフォンに似た形にしました。ここから進化していくことで、いつかはARグラスにXREAL Beamの機能とバッテリーを収めて、スタンドアロンのARグラスとして勝負していきたいですね」(チー・シューCEO)
現時点では、リーズナブルな3DカメラともなるXREAL Beam Pro──ユーザーにはどんなコンテンツを作ってほしいと考えているのでしょうか。
「まずは自分の生活を3Dで記録する楽しさを味わってほしいですね。また旅行先でも積極的に空間ビデオを撮ってほしい。空間ビデオはその場にいた自分の驚き、感動をシェアすることができるポテンシャルがありますから」(チー・シューCEO)
Appleが提唱し、iPhone 15 ProやVision Proで撮影できる空間ビデオとは異なるデータ方式となりますが、立体映像そのものが増えていく未来をXREAL Beam Proで支えていきたいとも言います。
1週間ほどではありますが、XREAL Beam Proを使ってみて感じたこと──それは、メインのスマートフォンを置き換えるような存在ではないと実感したこと。タッチ決済など、日本で強く求められている機能がないこともそうですし、OSの挙動も怪しいところがあります。
しかし、最新の3Dカメラという独特の機能を持っていることは大きな魅力です。ARメガネやXRヘッドセットが普及する未来が、いつやってくるのかは分かりませんが、その時代に先駆けて3Dコンテンツを増やしておきたい、と考える人ならば導入すべきデバイスであることは確か。いっちょ、賭けてみる価値はありそうです。
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