本機はAPU(GPU統合型CPU)としてRyzen AI 9 HX 370を搭載する。6月に開催された「COMPUTEX TAIPEI 2024」で発表されたばかりの「Ryzen AI 300シリーズ」(開発コード名:Strix Point)の上位モデルだ。
CPUコアは4基の「Zen 5コア」に加えて、L3キャッシュの少ないコンパクトな「Zen 5cコア」を8基実装することで「12コア24スレッド」としており、最大クロックは5.1GHzとなっている。他にはピーク時に50TOPS(毎秒50兆回)の処理を行えるNPUと、ピーク時に11.88TFLOPSの演算を行えるGPU「Radeon 890M」も統合している。
メモリはLPDDR5X-7500規格のものを32GB搭載し、ストレージはPCI Express 4.0 x4接続の1TB SSDを備える。クリエイター向けPCとしての必要条件を十分に満たす内容だ。
なお、本製品はCopilotキーを搭載しており、Microsoftが推進する「新しいAI PC」「Copilot+ PC」の要件も満たす。しかし、現段階ではCopilot+ PCに指定されていない。Copilot+ PCの特徴でもある、NPUを利用した新しいAI体験がx64版Windows 11に実装されていないからだ。
この問題は、そう遠くないタイミングで配信されるであろうWindows 11の「バージョン24H2」へのアップデートで解消される。そうなれば、本機もCopilot+ PCとして訴求されることになるだろう。
「CPU-Z」でRyzen AI 9 HX 370の情報を確認。Zen 5コア(≒Pコア)を4基、Zen 5cコア(≒Eコア)を8基実装し、合計「12コア24スレッド」のCPUを構成している。最大クロックは5.1GHzというパワフルな仕様だ
Ryzen AI 9 HX 370はNPUを統合しており、デバイスマネージャやタスクマネージャ(画像)でNPUの存在を確認できる。ただし、評価中にNPUが動作しているところは一度も見ることができなかった本機はコンパクトなボディーながらも、外部GPUとしてNVIDIAのGeForce RTX 4070 Laptop GPU(グラフィックスメモリは8GB)を搭載している点も見逃せない。
3Dグラフィックスの描画やプレビューの高速化はもちろん、3Dレンダリング、動画のエンコード、AIを活用したノイズリダクション処理や画像生成など、近年のクリエイティブアプリは積極的にGPUを活用する。クリエイティブ用途での実績が多いNVIDIA製GPUの搭載は心強いところだ。
GeForce RTX 4070 Laptop GPUが統合するAI処理用の「Tensorコア」は、現状ではWindows標準のAIアプリには対応していないものの、画像生成やノイズ処理、オートリフレームといった、クリエイティブアプリに実装されているAI処理では活用可能で、処理の高速化に貢献する。
プリインストールされているユーティリティーアプリ「MyASUS」では、GPUの動作モードを選択できる。標準の「スタンダード」を選ぶと、アプリに応じて外部GPUとCPU内蔵GPUを使い分けるようになっている
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