Core Ultra 200VプロセッサのGPUコアは、アーキテクチャが「Xe2」(開発コード名:Battlemage)に刷新された。Xeコアの数はモデルによって異なり、7基の「Intel Arc 130V GPU」と8基の「Intel Arc 140V GPU」の2種類が用意されている。
Xe2アーキテクチャは、単体GPUよりも先にCore Ultra 200Vプロセッサの内蔵GPUとして採用されることになった。もっとも、Xe2アーキテクチャを使った単体GPUが登場するかどうかは、現状では不透明な情勢だIntel Arcシリーズ(Xe/Xe2アーキテクチャ)のGPUは、「Xeコア」と呼ばれるGPUコアが、複数基のベクトル演算エンジン「XVE(Xe Vector Engine)」を内包する構成となっている。上位モデルに搭載されるArc 140VではXeコア(SIMD16)は8基なので、XVEは計128基搭載されていることになる。
Core Ultra 9 288Vの場合、Arc 140Vは最大2.05GHzで駆動する。当初の筆者の予想よりも随分と高いクロックで、興味深い。ここから理論性能を計算すると、以下の通りとなる。
8(Xeコア)×8(XVE)×16(SIMD16演算)×2FLOPS(積和算)×動作クロック(MHz換算)≒4.2TFLOPS
計算で求められた約4.2TFLOPSという性能だが、据え置き型ゲーム機のGPUと比較すると「Xbox Series S」の約4TFLOPSを超え、「プレイステーション4 Pro」の約4.3TFLOPSに迫る値となる。Intel CPUの内蔵GPUというと、一昔前は「画面が出るだけ」というイメージが強かったかもしれないが、そのイメージを吹き飛ばすような高性能ぶりで、感慨深い。
先代のXeアーキテクチャと同様に、Xe2アーキテクチャのGPUはリアルタイムのレイトレーシング処理にも対応する。
Core Ultra 9 288VとSnapdragon X Elite X1E-80-100のゲームパフォーマンスを比較。Snapdragon X Elite X1E-80-100の方は「DNR(稼働せず)」が多いが、ハロック氏は「X1E-80-100では動作しないゲームが多すぎるので、その性能比較をするのが難しいのだが……」という発言で、会場の笑いを誘っていた
Core Ultra 9 288VとRyzen AI 9 HX 370のゲームパフォーマンスを比較。Ryzen AI 9 HX 370の内蔵GPU(Radeon 890M)のピーク理論性能は約12TFLOPSとArc 140Vを上回っているのだが、一部のゲームを除いて平均フレームレートはCore Ultra 9 288Vが勝っている(平均16%)Xe2アーキテクチャのGPUでは、メディアエンジン(ビデオプロセッサ)回りも進化している。H.264(MP4)やH.265(HEVC)は当然のこと、採用事例が増えているAV1のエンコード/デコードに加え、次世代コーデックである「H.266(VCC)」のデコードもサポートしている。
また、Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)ではなぜか省かれてしまった推論アクセラレータ「XMX(Xe Matrix Engine)」が“復活”したこともポイントだ。INT8演算時における理論性能値は、XVEによるDP4a演算と、XMXによる演算の合算で67TOPS(1秒当たり67兆回)とされている。
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