インテルが「Lunar Lake」のチップ実物を披露 実は現行「Core Ultra」の直接後継ではない その理由は?

» 2024年06月26日 20時50分 公開
[井上翔ITmedia]

 インテルは6月26日、報道関係者に直近の最新技術を紹介する不定期イベント「Intel Tech Talk」を開催した。今回は「COMPUTEX TAIPEI 2024」に合わせて発表/公表された技術がテーマだ。

 イベントでは、同社の安生健一朗氏(技術本部 部長)が“ホンモノの”Lunar Lake(開発コード名)のチップを披露する一幕があった。

Lunar Lake Lunar Lakeのチップの“実物”を手にする安生健一朗氏

そもそも「Lunar Lake」ってどんなCPU?

 Lunar Lakeは、「Core Ultraプロセッサ」として2024年秋以降に登場するモバイル向けの新世代CPUだ。ただし、現行の「Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)」の“直接的な”後継CPUではない

概要 Lunar Lakeの概要

 「ならLunar Lakeは、どんなデバイスに向けたCPUなの?」という疑問が湧くが、このCPUは排熱性能や電力供給に制限のあるモバイルPC向け、つまり薄型/軽量あるいは超小型のノートPCにターゲットに絞った製品となる。

 詳細は別記事で確認してほしいが、そのような特性から、Lunar LakeはCore Ultraプロセッサ(シリーズ1)と比べるとワンチップでシステムを構築できる「SoC(System On a Chip)」としての性質が強い。当のインテルも、Lunar Lakeは「SoCである」と説明している。

SoC Lunar Lakeは「次世代のAI PC」に搭載するフラグシップ“SoC”という位置付けだ。IntelがPC向けCPUを「SoCだ」と説明するのは、とても珍しい

 ワンチップでPCとしてのシステムを完結させるという観点から、Lunar LakeではIntel製CPUとしては初めてメモリチップをパッケージに統合している。搭載するメモリチップはLPDDR5X規格で、容量は16GBまたは32GBとなる。ただし、メモリ容量がモデルによって異なるのか、それとも同一モデル内で16GB構成と32GB構成が選べるのかは明らかになっていない。

オンメモリ Intelとしては、初めて“自ら”CPUにメモリモジュールを搭載した。ゆえに「CPU」ではなく「SoC」と説明しているものと思われる

非常にコンパクトな“実物”

 組み込みを想定しているのが薄型/軽量あるいは超小型のノートPCということもあり、Lunar Lakeはメモリチップを含めても非常にコンパクトだ。今回のイベントで公開されたモジュールには、Micron製のメモリチップが搭載されていた。

 ダイを取り囲むようにしてU字の補強材(スティフナー)が付いているが、これはモジュールの外周部の補強と、冷却機構を取り付けた際の隙間を極小化するためのものだ。

実物 披露された“ホンモノの”Lunar Lake。メモリモジュールまMicron製で、ダイを取り囲むようにして補強材が取り付けられている
ダイ パッと見ではダイは一体化されているように見えるが、実はCore Ultraプロセッサ(シリーズ1)と同様に「タイル(チップレット)構造」を採用しており、3つの機能タイルを「ベースタイル」の上に載っけて、Foverosでつなぎ合わせている。ちなみに、その名の通り「フィラータイル」は“埋め合わせ”をするためのタイルで、大きな機能はない
Lion Cove Lunar LakeのPコアは「Lion Cove」という開発コード名が付けられた。ハイパースレッディング(マルチスレッド)機構を廃止したことが大きな特徴だが、それ以外にも細かい改善が施されている
Skymont Lunar LakeのEコアは「Skymont」という開発コード名が付けられた。こちらはCore Ultraプロセッサ(シリーズ1)のLP Eコア(低消費電力Eコア)がベースとなっているが、ディスパッチポートの拡充などによりパフォーマンスの向上が図られている
PコアとEコア PコアとEコアにタスクを割り当てる「Intel Thread Director」は、Microsoftの協力のもとOS(Windows 11)のタスクスケジューラーとの協調動作を改善した他、PCメーカー(OEM)がチューニングした動作モード(ポリシー)を反映できるようにすることで、モデルごとに最適な電力制御を実現している
Eコア Lunar Lakeでは、CPUに与えられた命令をまずEコアでこなし、「ちょっと荷が重いかな……」と判断されるとすぐにPコアに移管される仕組みを取っている

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