SoC(System-On-a-Chip)は、Qualcommの「Snapdragon X Elite(X1E-78-100)」を採用する。4モデルあるSnapdragon X Eliteの中で一番下のグレードに当たるもので、CPUコアのうち2コアのみ一層ブーストする機能が省かれている。過去にレビューしたASUS JAPANの「Vivobook S 15(S5507QA)」や、日本HPの「HP OmniBook X AI PC」も、同じSoCを採用している。
本SoCのCPUコアはQualcommが新開発した「Oryon(オライオン)」を12基搭載し、最大3.4GHzで駆動する。キャッシュは42MBだ。ピーク時に45TOPS(毎秒45兆回の処理)のAIパフォーマンス備えるNPU「Hexagon(ヘキサゴン)」や、ピーク時に3.8GFLOPSの浮動小数点演算をこなせるGPUコア「Adreno(アドレノ)」も統合している。
メモリはLPDDR5X-8448をオンボードで32GB搭載する。ストレージはPCI Express 4.0 x4対応の1TB SSDを備える。なお、本機は直販サイトでカスタマイズ(CTO)モデルも購入可能で、ここでは16GBメモリ構成や、512GB SSD構成も選べる。
Snapdragon X Eliteを搭載し、キーボードにCopilotキーを備える本製品は、Microsoftが定めた要件を満たす「Copilot+ PC」だ。Copilot+ PCには、OS標準のローカルAI機能が導入されており、NPUを活用した高度なカメラ効果や画像生成など、新しいAI体験ができるようになっている。
ただし、Snapdragon X EliteのCPUコアはArmアーキテクチャであり、OSもArm版Windows 11だ。このArm版Windows 11は、いわゆる「普通のWindows 11(x64版Windows 11)」とUI(ユーザーインタフェース)こそ共通だが、プログラムの命令構造が異なっており、互換性に課題が残っている。
一応、従来のx86(32bit)/x64(64bit)アプリもエミュレーションで動作するようになっているが、一部動作しないアプリがある他、x64アプリとArmネイティブアプリとの相互運用ができない(「Arm64EC」対応アプリを除く)。具体的な事例でいうと、アドビの「Adobe Creative Cloud」を構成するアプリのうち「Premiere Pro」や「Illustrator」などが利用できない他、x64エミュレーションで動作する日本語IMEは、ArmネイティブのOS標準アプリで利用できない(参考記事)。
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