まもなく発売を迎えるiPhone 16シリーズ。Apple Intelligenceへの対応や「カメラコントロール」の新設などに注目が集まっていますが、その陰で見過ごされている新要素があります。「Wi-Fi 7」です。
iPhone 16シリーズは、Apple製品としては初めてWi-Fi 7をサポートするデバイス……なのですが、そもそもWi-Fi 7って何なのでしょうか……?
Wi-Fi 7は、米IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)が策定を進めている無線LAN規格「IEEE 802.11be」に対するプロモーション名です。
IEEEでは、無線LAN規格を「IEEE 802.11シリーズ」の下に策定/管理しています。規格のうち、接続に関わるものを世代順に並べると以下の通りになります(括弧内は対応する無線周波数帯)。
無線LANに詳しい人ならさておき、多くの人は名前だけではどちらの方が新しい(古い)規格なのか直感的に分からないという課題があります。
そこで同シリーズの無線LANデバイスの普及/認証を行う団体「Wi-Fi Alliance」は、第4世代に相当するIEEE 802.11n以降の規格について名称の簡略化(プロモーション名の導入)を行うことにしました。具体的には以下のような感じです。
(※1)6GHz帯に対応するものが「Wi-Fi 6E」、非対応のものが「Wi-Fi 6」となります(規格策定当初、6GHz帯は無線LANで利用できなかったため区別する必要があった)
Wi-Fi 7ことIEEE 802.11beは、先代規格であるWi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)と同様に2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯での通信に対応する一方、6GHz帯で利用できる周波数の幅が2倍に拡大されるなど、より高速かつ高品質に通信できるようにする仕組みが取り入れられています。
日本では2023年12月22日に、6GHz帯で利用できる周波数の幅を広げるのに必要な総務省令(技術基準と無線設備規則)の改正が行われたことでWi-Fi 7の利用が“合法化”されました。
これに伴い、2024年に入るとWi-Fi 7対応の無線LANルーター、ノートPCやAndroidスマートフォンなどが日本でも発売されるようになりました。直近ではGoogleの「Pixel 9シリーズ」がWi-Fi 7対応でリリースされています。
ただし、現状のWi-Fi 7は「暫定規格(Draft)」で、近いうちに正式規格とする手続きが始まる見通しです(参考記事)。現状で発売されているWi-Fi 7対応機器は暫定規格に基づくものということになりますが、ほぼ全てが大幅な仕様変更を行えない段階(※2)を過ぎてから製品化されているので、正式規格と差分が生じてもソフトウェア更新で対応可能です。
(※2)Recirculation Ballot(投票の再実施)
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