「IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)」「320MHz幅」での通信が解禁に――総務省が技術基準を改正 即日施行その他規制の見直しも

» 2023年12月22日 13時45分 公開
[井上翔ITmedia]

 松本剛明総務大臣は12月22日、電波法に基づく「技術基準」と「無線設備規則」の一部を改正する総務省告示を交付し、即日施行した。これらにより、「IEEE 802.11be」規格に基づく無線LAN通信と、同規格に定めのある320MHz幅での通信が“合法化”される。合わせて、6GHz帯無線LANにおける子機間通信の解禁や、5.2GHz帯無線LANの自動車内での利用に関する規制緩和も行われる。

総務省 総務省の新規/改正告示の一覧に一挙に掲載された告示。第425号が5.2GHz帯無線LANの自動車内での利用に関するもので、第426〜432号がIEEE 802.11be規格、6GHz帯における「LPIモード」通信と、同規格における320MHz幅通信に関するものとなる

告示の概要

 今回の告示は、米IEEEで規格策定作業が進んでいるIEEE 802.11be規格の無線LAN(通称「Wi-Fi 7」)を日本国内で合法的に利用できるようにすること、6GHz帯無線LANにおける子機間通信を解禁することと、5.2GHz帯の自動車内無線LANシステムにおいて、車内に持ち込んで接続できる子機の要件を緩和することを目的として行われる。

IEEE 802.11be規格/320MHz幅通信の合法化

 今回の告示では、技術基準と無線設備規則にIEEE 802.11be規格に関する記述が追加される。ただし、12月22日現在においてIEEE 802.11be規格は「Draft(ドラフト:暫定規格)」で、正式な規格として策定されていない。告示では「Draft 3.0」以降の規格を合法化している。

基準 今回の告示では、IEEE 802.11be規格(Draft 3.0以降)自体の合法化に加えて、同規格に定められている320MHz幅の通信を合法化する規定が盛り込まれている(総務省資料より)
一部重複 上記資料から、具体的なチャンネル設定に課する部分を抜き出した。日本では6GHz帯で320MHz通信を認めるが、同帯域は480MHz幅しかないため、一部周波数の重複を許容する形で2つのチャンネルを設定することになった。重複を回避する形でのチャンネル設定は、6425MHz以降の周波数をどう使うかの議論が進まないと難しそうである
Draft 12月22日現在、IEEE 802.11be規格は確定していない。そのため、今回の告示では正式策定までの間はDraft 3.0以降のドラフト規格に対して規定を適用する

6GHz帯無線LANにおける子機間通信の解禁

 現行のIEEE 802.11ax規格の無線LANでは、6GHz帯(Wi-Fi 6E)用の通信モードとして、屋内利用を想定した「LPIモード」が規定されている。

 今回の告示によって、Wi-Fi 6E対応の子機(クライアント機器)同士の通信でLPIモードを利用できるようになった。ただし、定期的に親機(アクセスポイント/ルーター)と通信することによって屋内にいることを確認する機能を実装する必要がある。

LPIモード Wi-Fi 6E対応デバイスによるLPIモードの利用が解禁された。ただし、屋内で通信していることを担保する機能(≒定期的に親機と通信する機能)の実装も求められる(総務省資料より)

5.2GHz帯無線LANの自動車内での利用に関する規制緩和

 5.2GHz帯無線LANは、2022年9月2日の総務省令改正で自動車内で利用できるようになった。

 今回の告示では、自動車内で利用する5.2GHz帯の子機に関する要件が緩和され、自動車内の親機からの制御を受けることを条件に、電波の最大出力を40mWから200mWに引き上げられることになった。条件を満たす親子端末がそろえば、従来よりも安定した通信を期待できる。

規制緩和 自動車内で使う5.2GHz帯無線LANについては、親機からの制御に対応することを条件に子機の出力を引き上げられるようになった

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