松本剛明総務大臣は12月22日、電波法に基づく「技術基準」と「無線設備規則」の一部を改正する総務省告示を交付し、即日施行した。これらにより、「IEEE 802.11be」規格に基づく無線LAN通信と、同規格に定めのある320MHz幅での通信が“合法化”される。合わせて、6GHz帯無線LANにおける子機間通信の解禁や、5.2GHz帯無線LANの自動車内での利用に関する規制緩和も行われる。
今回の告示は、米IEEEで規格策定作業が進んでいるIEEE 802.11be規格の無線LAN(通称「Wi-Fi 7」)を日本国内で合法的に利用できるようにすること、6GHz帯無線LANにおける子機間通信を解禁することと、5.2GHz帯の自動車内無線LANシステムにおいて、車内に持ち込んで接続できる子機の要件を緩和することを目的として行われる。
今回の告示では、技術基準と無線設備規則にIEEE 802.11be規格に関する記述が追加される。ただし、12月22日現在においてIEEE 802.11be規格は「Draft(ドラフト:暫定規格)」で、正式な規格として策定されていない。告示では「Draft 3.0」以降の規格を合法化している。
現行のIEEE 802.11ax規格の無線LANでは、6GHz帯(Wi-Fi 6E)用の通信モードとして、屋内利用を想定した「LPIモード」が規定されている。
今回の告示によって、Wi-Fi 6E対応の子機(クライアント機器)同士の通信でLPIモードを利用できるようになった。ただし、定期的に親機(アクセスポイント/ルーター)と通信することによって屋内にいることを確認する機能を実装する必要がある。
5.2GHz帯無線LANは、2022年9月2日の総務省令改正で自動車内で利用できるようになった。
今回の告示では、自動車内で利用する5.2GHz帯の子機に関する要件が緩和され、自動車内の親機からの制御を受けることを条件に、電波の最大出力を40mWから200mWに引き上げられることになった。条件を満たす親子端末がそろえば、従来よりも安定した通信を期待できる。
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