プロナビ

バッファロー開発陣に聞く「Wi-Fi 7」にいち早く対応したメリット 決め手は異なる周波数を束ねる「MLO」【前編】(1/3 ページ)

» 2024年04月22日 17時30分 公開
[井上晃ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 2023年12月22日、総務省が電波法に基づく「技術基準」と「無線設備規則」の一部を改正した。これにより、国内でもIEEE 802.11be規格の無線LANの利用が可能となった。2024年1月9日(日本時間)にはWi-Fi Allianceが同規格の無線LAN機器の認証プログラム「Wi-Fi CERTIFIED 7」を発表したことで、今後IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)対応機器が相次いで登場するものと思われる。

 Wi-Fi Allianceの発表に合わせて動いたのが、国内における無線LAN機器の老舗であるバッファローだ。同社は1月9日、Wi-Fi 7認証を取得した“国内初”の無線LANルーター「WXR18000BE10P」の発売を予告。2月上旬から販売を開始した。

 読者の皆さんはご存じかもしれないが、規格としてのIEEE802.11beはまだ正式なものではない。現状では「Draft(ドラフト)」と呼ばれる暫定規格の状態である。そのため、現状発売されているWi-Fi 7対応デバイスは暫定規格に基づくものである。

 マーケティング理論でいう「アーリアダプター層」のユーザーは、現段階のWi-Fi 7対応製品に手を伸ばしても問題ないのか――バッファローの開発陣に直接、質問をぶつけてみた。

WXR18000BE10P 国内初の「Wi-Fi CERTIFIED 7」認証を取得したIEEE 802.11be対応ルーターとなった「WXR18000BE10P」は、税込みの実売価格は6万5000円前後となる
インタビューに応じてくださった皆さん インタビューに応じてくださったバッファローの皆さん。左から下村洋平氏(コンシューマーマーケティング部 次長)、永谷卓也氏(コンシューマーマーケティング部 BBSマーケティング課)、森川大地氏(ネットワーク開発部 第一開発課)、市川剛生氏(ネットワーク開発部 FW第一開発課 課長)、成瀬廣高氏(ネットワーク開発部 第一開発課 課長)

日本における「Wi-Fi 7」の現状はどうなっている?

 「Wi-Fi 6」ことIEEE 802.11ax規格の無線LANは、2019年に正式な規格となった。同規格では従来のIEEE 802.11シリーズが想定していた2.4GHz帯と5GHz帯に加えて、他用途との競合が少ない6GHz帯の利用を想定しており、特に6GHz帯に対応するものは非対応製品と区別するために「Wi-Fi 6E」と呼称している。

 日本では2022年9月2日付で6GHz帯の一部がアンライセンスバンド(無線局免許なしで通信できる帯域)となり、Wi-Fi 6E対応機器の国内出荷が可能となった。

 先述の通り、総務省は2023年12月22日付で電波法に基づく技術基準/無線設備規則を改正した。この改正は、IEEE 802.11be規格の国内導入に必要な技術的要件を定めたもので、具体的には最大320MHz幅での通信を合法化している(従来は最大160MHz幅)。

320MHz幅 2022年9月2日付で6GHz帯の一部(5925MHz〜6425MHz)がアンライセンスバンド化され、IEEE 802.11axの6GHz帯利用(Wi-Fi 6E)が解禁された。2023年12月22日には、帯域幅が最大160MHzから320MHzに拡大され、Draft 3.0以降のIEEE 802.11beを合法的に利用できるようになった

 IEEE 802.11beでは、利用できる電波の帯域を最大160MHzから320MHzに広げた他、変調の高度化(1024QAM→4096QAM)や、MLO(※1)の導入などによって、理論上の最大通信速度が9.6Gbpsから46Gbpsと一気に約4.8倍に引き上げられた。このインパクトは大きい。

(※1)Multi Link Operation:離れた帯域の電波をまとめることで、通信速度を向上する技術(モバイル通信において「CA(キャリアアグリゲーション)」と呼ばれる技術とほぼ同じ)

 もっとも、現在の家庭向けブロードバンドサービスの最大速度は10Gbps程度なので、この高い理論値をすぐに生かせるわけではないが、中長期的な視点に立つと実効速度の改善につながるので、そのポテンシャルはすぐに生かせるだろう。

歴史 Wi-Fi 4(IEEE 802.11n)以降のIEEE 802.11シリーズの歴史。こうして見ると、Wi-Fi 6は正式規格になってから約5年もたっていたのだと驚かされる

 規格としてのWi-Fi 7は、現時点でまだDraft規格となっている。バッファローのWXR18000BE10Pを含めて、Wi-Fi 7対応のルーターは既に複数発売されているが、今購入しても問題はないのだろうか。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月11日 更新
  1. 初のカラー対応「Kindle Scribe Colorsoft」の実力は? 通常モデルとの価格差1万7000円の価値を検証 (2026年06月10日)
  2. ミニPCに強みの「MINISFORUM」 ミニワークステーションの新モデルから「謎の拡張カード」まで多彩な製品を披露 (2026年06月10日)
  3. 「Geminiの技術は使うが、Geminiではない」 WWDC26で見えたApple流AIとプライバシー戦略の核心 (2026年06月10日)
  4. 「macOS 27 Golden Gate」が2026年秋に登場 初のApple Silicon専用バージョンに (2026年06月09日)
  5. 縦に三つ折りする「Ewin 折りたたみ式ワイヤレスキーボード」がタイムセールで12%オフの4820円に (2026年06月10日)
  6. 夜間もフルカラーで鮮明に記録できる「SwitchBot 屋外パンチルトカメラ 5MP」が15%オフの7674円に (2026年06月10日)
  7. コンパクトボディーにスパコン並みのAI性能! 「NVIDIA RTX Spark」搭載ミニデスクトップPCを見てきた (2026年06月04日)
  8. 「次世代Apple Intelligence」をフル活用するにはどのような条件がある? 「Siri AI」は日本で使える? 知っておくべき対応モデルのハードル (2026年06月09日)
  9. 実売1万円切りでパススルー給電にも対応! KTCの15.6型モバイルディスプレイ「H15F9」は“買い”か (2026年06月09日)
  10. DJI初の360度カメラドローン「DJI Avata 360」実機レポ 多彩な8K空撮、これは“空飛ぶOsmo 360”だ (2026年06月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー