Core Ultra(シリーズ2)にデスクトップ/ハイエンドモバイル向けモデルが登場! これまでのIntel製CPUとの決定的な違い(2/5 ページ)

» 2024年10月11日 00時00分 公開
[西川善司ITmedia]

複数のタイル(ダイ)をForveros 3D技術でパッケージング

 Arrow Lakeの基本開発コンセプトは「エンスージアストレベルの高性能を低消費電力で」だったそうだ。結果として、Arrow LakeはCoreプロセッサ(第14世代)比で同性能時の消費電力を最大30%削減したという。

 デスクトップの最上位モデル同士で比較すると、先代の「Core i9-14900K」が24コア32スレッド、「Core Ultra 9 285K」が24コア24スレッドという構成と8スレッドも少ない。にも関わらず、マルチコア(マルチスレッド)動作時の実効性能はCore Ultra 9 285Kの方が最大10%高いそうだ。内蔵GPUもより新世代のものを搭載したので、グラフィックス性能も従来よりも改善したとのことだ。

 Core Ultra 200S/200HXプロセッサにおける各タイル(ダイ)の製造プロセスは以下の通りだ。

  • Computeタイル:TSMC N3B(3nm)
  • GPUタイル:TSMC N5P(5nm)
  • SoCタイル:TSMC N6(6nm)
  • I/Oタイル:TSMC N6
  • ベースタイル:Intel 1227.1(22nm)

 Intelは異なるプロセスで作られた複数個のタイルを1パッケージに収める3D積層技術「Foveros 3D」を適用して、これらをつなぎ合わせている。

Foveros 3D 機能別に異なるプロセスで製造されたタイルにFoveros 3Dを適用して製造している

 Arrow Lakeに搭載されているタイルは、CPUコアをまとめた「Computeタイル」、追加のPCI Expressバス(レーン)やThunderbolt 4といった入出力インタフェースをまとめた「I/O(入出力)タイル」、グラフィックス機能をつかさどるGPUコアそのものを備える「GPUタイル」、そして各種タイルをつなぎ合わせるハブとなる「SoCタイル」の4つだ。これらはつなぎ合わせるための配線を備える「ベースタイル」の上に実装されるが、そのつなぎ合わせに使われるのが、Foveros 3Dとなる。

 それぞれのタイルは、個別の動作クロック/電圧で動作している。また、Computeタイルに関してはパフォーマンスコア(Pコア)と高効率コア(Eコア)で基本クロック“も”異なるというのが興味深い。

 先述の通り、Core Ultra 200SプロセッサとCore Ultra 200HXプロセッサは基本パッケージは共通だ。搭載先に合わせて動作電圧/クロックの他、外観にも違いがあるものの、チップとしての“素性”は同じだということになる。

 そうなると「では、Core Ultra 200Hは何が違うのか?」と疑問に思うところだが、Intelは「詳細の明言は避けたい」としつつも、I/OタイルとGPUタイルに違いがあるとしている。

 Core Ultra 200HプロセッサのGPUタイルは、Core Ultra 200S/200HXプロセッサの2倍となる8基のXeコアを搭載している上、Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)では省かれていた「Xe Matrix Engine」(XMX:推論プロセッサ)も“復活”を遂げている

 XMXがあるということからも察することができる通り、Core Ultra 200HプロセッサのGPUタイルは、設計的にはモバイル向け独立GPU向けGPUコア「ACM-G11」(※1)に極めて近い設計になっていると思われる。このあたりの詳細は後述する。

(※1)Intel Arc A350M/A370M Graphicsで使われた

GPUコア Core Ultra 200Hプロセッサは、高性能ノートPCに搭載することを想定して最適化されたモデルとなる。独立GPUなしでも、十分に高性能なPCを構成できるのがウリとなっている

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