「iPhone 16」「iPhone 16 Pro」のカメラ機能は想像以上に進化していた 1〜2年前のiPhoneユーザーも買い換えたくなるくらい本田雅一のクロスオーバーデジタル(4/5 ページ)

» 2024年10月14日 13時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

実際に撮ってみると分かるカメラの“良さ”

 さて実際にiPhone 16やiPhone 16 Proで撮影を始めると、今までのiPhoneとの違いが結構あるように感じる。冒頭でも触れたとおり、撮影時の処理パイプラインが変更されたことで、より階調豊かで、センサーが捉えた情報をより正確かつ的確に出力されるようになったようだ。

 テスト撮影した日はあいにくの曇り空で、撮影という意味ではあまり条件が良くなかった。しかし、写真の彩度は良く、明暗のトーンも的確で、ふくよかで立体的な写真を撮影できた。光の条件が良いと、過去モデルとの違いはよりハッキリとする。

 写真アプリからフォトグラフスタイルを簡単に切り替え、さらには明暗や色の濃さなど、いくつかのパラメーターを指先で自在に操ることが可能となったが、これらの操作を後処理で行っても、階調が失われることはなく、いわゆる「トーンジャンプ」も見られないのはすごい。

インカメラで撮影 Apple側から特にアナウンスはないが、iPhone 16 Proのインカメラの撮影品質は想像以上に改善している
先日行った米国取材時に撮影した動画。好天下で撮影すると、従来モデルとの彩度の差はハッキリとしやすい

動画は「シネマティックモード」の品質向上がすごい

 特に動画での撮影では、色味がより良くなっているように思う。特にシネマティックモードでの色の豊かさと深みは、ぜひ試してみてほしい。背景のボケの処理に関しても、推論エンジンの活用が進んだこともあってか、以前よりも的確になっていた。

 一方、こうした画質の向上に対して、アクションカメラモードはそれほど進化していない点は少し気になる。性能が低下したわけではないのだが、アクションカメラモードにした途端に、動画の画質が極端に落ちてしまうのだ。もしアップデートで改良できるのであれば、できるだけ早くやった方がいい思う程の違いがある。

 なお、これらは主にメインカメラで撮影していて感じたことだが、どのカメラを選んだとしても、iPhone 16シリーズやiPhone 16 Proシリーズに共通する特徴だと思ってよい。

動画撮影機能は全般に高機能/高画質化しており、スローモーション撮影の「フルHD(1920×1080ピクセル)/240fps」が注目を集めているが、シネマティックモードの品質改善も注目ポイントだ
動画撮影時のダイナミックレンジが広がったこともチェックすべきポイントだ

「オーディオミックス」は思ったよりも効果てきめん

 動画における音声収録に関しても大きなアップデートがある。先に軽く触れたオーディオミックスだ。iPhone 16 Proシリーズはもちろん、iPhone 16シリーズでも利用できる。

 この機能は動画の音声を背景ノイズと分離して強調するための機能で、具体的には音声のみを分離して“中央”に配置した上で、背景のノイズを抑える処理をしてくれる。

 「スタジオ」を選択すると、背景ノイズをできる限り排除する。「静かな場所で収録しているつもりが、どうしても入ってしまう背景の暗騒音」をきれいに消して、その名の通りスタジオで収録したような声にしてくれる。

 「シネマティック」を選ぶと、騒がしい街中で収録したとしても、被写体の音声を見事にセンターに転移してくれる。背景のノイズは適度に残るので、映画っぽい雰囲気のある動画を撮った際に役立つ。

 筆者が最も驚いたのは、満員のカフェの中で撮影した動画を、問題なく被写体の音声を捉えた上で、周囲の雰囲気も適切に“抜き取って”くれたことだ。撮影時は周囲がかなり騒がしかったのだが、オーディオミックスのシネマティックを適用しただけで、ここまでうまく調整してくれるのはすごい。

 なお、オーディオミックス自体はiPhone 16シリーズでも利用できるが、iPhone 16 Proシリーズでは音声を空間オーディオで収録した動画にも適用できるという機能的差分がある。空間オーディオと組み合わせた方が効果が“際立つ”のは間違いないのだが、iPhone 16シリーズでも十分満足のいく結果を得られるはずだ。

オーディオミックスで2人の会話を強調した図。周囲はかなり騒がしいのだが、全然気にならなくなっている

 感覚的なもので申し訳ないが、恐らく4年前の「iPhone 12」、あるいは3年前の「iPhone 13」の世代からの買い替えであれば、特に静止画カメラとしてその違いを大きく感じることはできるはずだ。

 そして動画カメラとしても、2年前の「iPhone14」世代はもとより、わずか1年前の「iPhone 15」世代からも買い替えたくなるかもしれない。

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