最新モデルであるVAIO SX14-Rの組み立て工程では、「LCD(液晶ディスプレイ)部」と、さまざまな部品を実装する「キーボード部」でラインを別々に用意している。最終的に、両ラインからできあがってきたものを組み合わせて“完成”という構成だ。
ちなみに、従来モデルの「VAIO SX12」「VAIO SX14」では、LCD部、キーボード部に加えて「ベース部」の計3つで組み立てラインを組成していた。今回のVAIO SX14-Rはベース部に組み付ける部品がなくなったため、工程としては省かれている(後で組み上がった本体に取り付けるだけで済む)。
VAIO SX14-Rの生産は量産試作を経て、10月21日から本格的な量産を開始しているという。この生産ラインで目を引くのは、工程全体がブラック基調となっていることだ。VAIO SX12/14のラインではシルバーの器具を使っていたのに対して、ブラックの器具を使うようになり、工程全体で“プレミアム感”が演出されている。
実はこれには狙いがある。VAIOはここ数年、法人向けビジネスを強化している。それに伴い、「安曇野にある本社工場を見学したい」という企業が増加しているのだという。今回の取材は11月11日の週に行ったのだが、この週は毎日、企業の見学があったそうだ。企業がPCの一括導入を検討する際に、工場の生産ラインを見学した上で、そのこだわりを知り、導入を決定するというケースも少なくないという。
「完成した製品そのものは品質が高く、きれいであるのは当然だ。しかし、それだけでなく、整然とし、きれいで、カッコイイ生産ラインで、PCが作られていることも訴求したいと考えた。VAIOは、生産ラインも製品の一部であると捉えている」と、工場の担当者は狙いを語る。
VAIOは「カッコイイ」「カシコイ」「ホンモノ」を商品理念に掲げる。これを生産ラインにもそのまま適用しているというわけだ。
ちなみに、最初に生産ラインにブラックの器具を導入し始めたのは、2022年の「VAIO Z」だ。この6月から生産を開始したVAIO Vision+の生産ラインにも、ブラックの器具を用いている。今後、安曇野の本社工場の生産ラインは順次ブラック基調にしていくそうだ。
LCD部の組み立てラインでは、6月から生産をしているVAIO Vision+で採用した新たな組み立て方法の経験を生かしているという。新たなカーボンファイバー素材の取り扱いやパネルの圧着作業、薄いベゼルの取り付けなど、約4カ月に渡って先行した経験がVAIO SX14-Rに生かされているのだ。
また、安曇野工場の特徴といえるのが、安曇野FINISHである。技術者が1台ずつ組み上げたPCを、人手による目視や官能試験、自動検査などにより、120項目以上の品質をチェック。「いいものを作って届けたい」という生産ラインの思いが、安曇野FINISHを支えているという。
ここからは、ラインごとに生産の様子を見てみよう。
VAIO SX14-Rでは、ヒンジ部に曲線を用いたオーナメントデザインを採用している。その貼り付けは熟練工が担当しており、ピンセットを使ってアンテナケーブルなどをはわせた後にカメラで撮影して検査を行う。写真は、その後の液晶パネルの取り付け工程の様子だ(作業者は液晶パネルを置くだけで正しい位置に取り付けできる)
完成した本体は、カートに載せられて完成後検査の工程に回される。このカートにはモバイルバッテリーが取り付けられていて、検査用のソフトウェアは移動中にインストールされるようになっている。完成後検査の時間短縮のための工夫とのことだ
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