続いて登場したのは山口篤氏(ドキュメントイメージング事業本部 販売推進統括部長 HHKB戦略シニアエキスパート)だ。
グローバルでHHKBの累計出荷台数は2022年に60万台を突破し、2024年8月には70万台を突破した。特にこの2年半で10万台の出荷があったという。急進の理由については「コロナ禍で、在宅ワークをするユーザーの間に2台持ち、3台持ちというブームが見られた」と山口氏は分析する。
シリーズ別では、2023年には17%を占めていたHHKB Studioが34%を占めるまでに躍進した。そもそも2023年の2カ月間でHHKBシリーズ全体の17%という比率で売れたことにも驚きだが、着実にStudioユーザーが増えているということがよく分かるグラフである。
配列別では、日本語配列が4ポイント増えた。プログラマーの中に日本語配列を好む人が増えたことが原因ではないかと、同イベントでなぜか毎回のように司会に呼ばれる、ほげ技研の小山哲志氏が横から解説していた。
年代別では、10代で0.7ポイント、50代で3.6ポイントの伸びが見られた。「10代でこれをお買い上げいただくというのは、なんともうらやましい。そして、4万円もするキーボードに手を出せる世代になってきた、というのが50代なのかもしれません」と山口氏は分析する。とはいえ「30代、40代がボリュームゾーンとして愛用してくださっているのはうれしい」と感謝を述べた。
男女比についてはどうだろうか。23年から24年にかけて、0.3ポイント減ったが、「10月2日にHHKB Studioの雪モデルが出たことで、女性ユーザーが年末までに増えるのではないか」という予測を立てていた。
ユーザーアンケートでは、タイピングのしやすさへの感動の声がありつつ、カラーバリエーションやジェスチャーパッド(HHKB Studioの左右手前側面に搭載されているタッチセンサー)の精度を上げてほしいという声もあった。
そして、それに応えるべく、2024年2月にはHHKB Studioのキートップ3Dデータの公開と、カラーキートッププロジェクト第一弾として「桜」の販売を行った。
→・「Happy Hacking Keyboard」に“桜”はどうだ! HHKB カラーキートッププロジェクト第1弾「桜キートップ」を試す
3月には、もともと無刻印のようなHHKB Studio墨モデルであるにもかかわらず、“究極の没入感”を得るために(?)、本当の無刻印キートップセットの販売を開始した。「(キーボード専門ショップの)遊舎工房ではレーザー刻印サービスを行っているので、こちらの無刻印キートップセットを購入して、好みのフォントや文字、デザインを刻印してもらうこともできる」と山口氏は付け加えた。
また、前述した「Re:Japan」プロジェクトにも触れた。「2006年のHHKB Professional HG/HG JAPANでは、50万円だったが、今回は132万円になってしまった。その理由は金の価格が上がったから」と価格について説明する。「これからもできる限り、復興を支援していきたい」と述べ、山口氏は会場にいるユーザーたちに同じような支援を依頼した。
新しいところでは、10月のHHKB Studio 雪モデルの発売がある。桜キートップでは、ソメイヨシノをイメージさせる赤が刻印に用いられたが、雪モデルでは「クールグレー」が採用された。全体のトーンを崩さない色合いで、HHKBの開発陣が刻印にまでこだわっている様子がよく分かる。
なお、HHKB Studio 雪モデルには、最初から「無刻印」と「黒印字」のキートップセットのバリエーションが用意されている。Apple Vision ProのようなXRゴーグルを装着するときには、黒印字のキートップに換装すると、視認性が高まるだろう。
SNS連動企画では、毎年恒例のバレンタインチョコレートネタやエイプリルフールネタについても振り返っていた。「どこかの製菓メーカーとキーボード型チョコレート制作でコラボしたいのに、なかなか実現しない」という反面、エイプリルフールの「キー数の多さ世界一」というネタにはクラウドファンディング各社から「作りませんか」という問い合わせがあったという。
「拾い上げてもらえるというのは、よく分からないけど面白いネタだと思ってもらえているのかな。2025年もご期待ください」と語った。
その他、家電量販店での取り扱いがないHHKBを手に取れる「HHKBタッチ&トライスポット」が2024年だけで14施設増えて23施設26店舗に置かれていること、HHKBの魅力を伝える「HHKBエバンジェリスト」が3人増えて合計44人になったことも紹介された。
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