さて本製品のメインの機能の1つが、冒頭でも紹介したFire TVとしての機能だ。従来はメニューの中に「ビデオ」とあったのが、今回は「Fire TV」となり、使い勝手も統一されている。画面サイズも15.6型ということで、スマホやタブレットと比べてもかなりの迫力がある。
また本製品にはAlexa対応の音声認識リモコンが付属し、Fire TV関連の操作はこのリモコンを使って行えるようになっている。ちなみに、通常の画面でも音量調整やAlexaへの呼び掛け、さらにホーム画面とFire TV画面の切り替えなど一部操作については、このリモコンを利用できる。機能としては明らかに後付けなのだが、主要な操作だけはこのリモコンを使えるようにすることで、製品としての完成度を高めている格好だ。
ただし、気になる点もなくはない。1つはサウンドが必ずしもよいとはいえないことだ。本製品のスピーカーは側面と背面の間にある、ナナメになった面に配置されており、音は背後に抜けてしまうため、人の声などは全体的に聞き取りにくい。メーカーによると低音を強化したそうだが、全体的にくぐもった音になってしまっている印象だ。
特に壁掛けではなくスタンドに立てた状態では、音が壁に跳ね返らないせいか、この傾向は強くなる。しっかりと音を聞きたければ壁掛け設置が望ましいのだが、動画を観るのであれば壁掛けよりもスタンド設置の方が角度や向きも変えられて便利だったりする。
いずれにしても本製品において、どのように設置するかは、ある意味で製品の評価そのものに影響しかねない重要なポイントだ。事前に考えていた設置場所ではどうもフィットしない場合、思い切って設置方法ごと変えてみるくらいの思い切りは必要になる。またそのためには、いざという時に設置のやり直しができるようにしておくのがベターだろう。
以上のように、ハードウェアとして大きく変わっているわけではないのだが、Fire TVを内蔵し、動画再生端末としての性格がより一層強くなっている。いまひとつつかみどころのなかった第1世代と異なり、ユーザーのニーズが分かったことで製品の方向性もしっかりと定まってきた印象だ。わざわざリモコンを追加したことからも、それは明らかだろう。
その分、実売価格は4万7980円とそこそこのお値段になった。同等サイズのモバイルディスプレイの多くが2〜3万円台で、そこに音声アシスタントやFire TV相当の機能を搭載していることを考えると妥当ではあるのだが、従来モデルはリモコン別売とはいえ2万9980円だったので、やはり割高な印象は否めない。
本製品のターゲットユーザーは、既にEchoを始めとして家庭内にAlexaが使えるネットワークが構築されているおり、既存のEchoでは満足できない人ということになるだろうが、セールで安くなる機会もあまりない製品だけに、予算面ではちょっとした覚悟が必要になりそうだ。
壁掛け対応スマートディスプレイ「Echo Show 15」を試して分かった際立つ個性
壁掛けで使うスマートディスプレイ「Echo Show 15」をセットアップして分かったこと
Amazonの「Echo Hub」はこれまでのEcho Showシリーズとはどこが違う? 新登場のスマートホームコントロールパネルを実機で検証した
3年ぶりのモデルチェンジ! Amazonのスマートディスプレイ「Echo Show 8(第3世代)」は何が変わった?
他社製品と比較して分かった「SwitchBot CO2センサー」の弱点 ただし多機能さでつぶしが利く買い得感はありCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.