PCからの操作にも触れておこう。PCからNASyncシリーズにアクセスする方法はいろいろあるが、最も一般的な方法としてはWebブラウザからの操作だろう。
例えばスマホで初期設定を行った後、作ったアカウントを使ってPCからアクセスすることも可能だし、その逆も行えるため、どちらの手順を踏むかはユーザーのリテラシーレベル次第だ。
Webブラウザから表示した場合には、PCのデスクトップのようなホーム画面が表示される。このあたりはデザインこそ違えど、他社のNASを使ったことがあるユーザーであればおなじみといったところだろう。
もちろん他社のNASの操作の経験がない人であっても、PCライクな画面になっているので、ファイルアクセスなどは「ファイル」や「写真」から行えばよい。
ファイルのドラッグ&ドロップによる保存(転送)も行えるので、PCとNAS、どちらを操作しているかをあまり意識する必要もない。
また写真や動画はブラウザ内での再生にも対応している。使い方としてはスマホから自動的にバックアップを行い、それらのデータをPCからフォルダーに分類し直すような操作を行うと、データの保存先としてさらに活用できるだろう。
そしてPCからは重たいデータをNASに転送することも多い。今回レビューを行ったDXP4800 Plusは2.5Gbpsに加えて10Gbpsにも対応している。レビュー環境として筆者の手元には最大2.5GbpsまでのLAN環境しかなかったため、今回は2.5GbpsのLANポートを利用し、PCからのファイル転送速度を測定した。
転送速度は結果の通り、2.5Gbpsのほぼ上限値といえる速度を記録している。
さすがに内蔵のSSDや高速なUSB 3.2 Gen 2などで接続をする外付けストレージに比べれば遅いが、データ転送に何時間も待たされるようなこともない。
エンタープライズ向けの製品を除き、従来のNASは転送速度が遅いものも珍しくなく、データのバックアップ先として導入するも、速度の遅さから「目当てのデータを置いたが最後、取り出しづらい」といった印象を持っている人も多いかもしれないが、少なくともDXP4800 Plusはストレスなくデータの出し入れが行えるため、従来のNASに感じていた不満点は解消されている。
注目度の高いUGREENのNASync DXPシリーズだが、試用して感じたのはスマホファーストの作りがとにかく優秀ということだ。
NASといえばエンタープライズ向け、またはPCリテラシーの高い玄人向けの製品のイメージが強く、実際に利用しているユーザーやシチュエーションのほとんどはそうだろう。
もちろん一般家庭でも、誰か詳しい人がいて、家族に使い方を教えることで活用しているケースは存在するとは思うが、やはり操作は煩雑でなかなか利用してもらえないことの方が多いだろう(実際、筆者宅が今までそうだった)。
だが、NASync DXPシリーズは専用アプリの作り込みが非常に優秀で、それこそ写真や動画のバックアップは自動化できるなど、一度設定さえしてしまえば後は何もしないでいい。
また、TVに映し出す機能もあるため、家族全員で撮影したデータをため込むだけでなく、楽しむ機能を気軽に利用できるという点で、今までのNASよりも“普通の人向け”だと感じた。
もちろん玄人向けの設定もいろいろと行えるため、NASとしての基本性能の高さ、拡張性の高さを生かして利用してもいいだろう。どちらの使い方であっても、スマホ周辺機器メーカーが送り出すNASとは思えぬ完成度で、まさに“黒船的”な存在だ。他社に与える影響を含め、NAS市場の活性化に期待したい。
(製品協力:ユーグリーン・ジャパン)
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