Hot Tubでは、性的人身売買を含む違法な金銭取引に関与したことを認めているPorn Hubなどのコンテンツも見られるという。
Appleは、Hot Tubのリリースに合わせて以下のような声明を出した。
Appleは、この種のハードコアポルノアプリがEUの利用者、特に子どもたちに及ぼす危険性のリスクについて強く懸念しています。このようなアプリは、Appleが10年以上かけて世界最高を目指して築いてきたエコシステムに対する消費者の信用と信頼を損なうものです。
当該マーケットプレイスの開発者による虚偽の声明に対して、私たちは断固としてこのアプリを承認しておらず、私たちのApp Storeで提供することも決してありません。実のところ、Appleは欧州委員会によって、ユーザーの安全性の確保に関してAppleと同じコミットメントを果たしていない、AltStoreやEpicのようなマーケットプレイス運営者によるアプリ配信を許可するよう義務付けられているのです。
アダルト向けアプリはどこまで容認して、どこからは許さないようにするかはApp Storeのガイドライン作りでも常に議論の的になっていた。
2009年〜2010年頃、筆者は国内の多くのアプリ開発者と付き合いがあったが、「先週まではOKだったアプリが、今週になってNGになった」といった話や、「交渉したらその翌週から再公開できた」といった話を頻繁に聞かされたが、2010年にアダルト系アプリが一斉に大量削除されるという出来事があった(「iPhoneアダルトアプリの大量削除、ダブルスタンダードを開発者が批判」「Apple、アダルトアプリをApp Storeから大量削除か)。
後述するが、AppleはiPhoneを子供からシニアまで幅広い層が利用するデバイスであり、より多くの人が安心して使えることを目指しているという立場を示しており、アダルト系アプリなどを必要とする人のためには、(Androidなどの)他のスマートフォンプラットフォームもあると言った趣旨の発言を続けてきた。
それだけAppleによる規制が厳しく、これまでビジネスチャンスを失っていたという意味では、アダルトコンテンツのメーカーは他社製アプリマーケットに最も期待している業種かもしれない。
「スマホソフトウェア競争促進法」を受けて開設した他社によるアプリマーケットが、どのような基準でアプリを選別し流通するかまでは、Appleなどのプラットフォーマーは管理できない。児童や青少年が使うことも多いiPhoneのアプリ市場をどのようなものにしたいかは、これから政府と共に作られていくガイドラインに依存する部分も多い。
裏を返せば2026年以降、日本のiPhoneでどのようなアプリが広がるかは政府があらゆる事態を想定してしっかりとガイドライン作りができているかによる部分が大きい。これまではAppleが1社でその責任を担っていた。これからは日本の政府機関もその責任の一端を担うことになる。
Appleの「プライバシー」ページにリンクが用意された「透明性に関するレポート」。リンク先は英語だが、各国の政府からどれだけたくさんの情報開示請求が来ているか、Appleがそれにどの程度応じたかを確認できる。米国が突出してリクエストが多く、英国も多い。日本もそこまでは多くないが、比較的多い方だ。中国やロシアが意外に少ない。なお、情報開示請求とそれに対する対応についての詳細はこちらを参照してほしい。法的手続きのガイドラインは、こちらに示されている
App Storeのプライバシーラベルに見るプラットフォーマーの責任
Appleのサイドローディング問題、独占制限の新法は誰のための法案か
EpicとAppleの独禁法訴訟に決着 Epicは「iOSの開放」に事実上失敗 Appleは米国で「App Store以外の決済」に対応へ
Appleは何故、ここまで声高に「プライバシー」保護を叫ぶのか?
WWDCに見る、Appleがプライバシー戦略で攻める理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.