では実際に使ってみよう。ポートは左側面に集中して配置されている。USB Type-Cポートは2つあるが、中央寄りにあるのは給電専用なので間違えないよう注意したい。
実際に使ってみた限り、画面サイズこそ小さいものの、その他の特徴は一般的なモバイルディスプレイそのものだ。解像度はかなり高いため、OS側で表示倍率を200%にするなどして調整すると良いだろう。斜め方向から見た時にやや暗くなりがちなのが多少気になるが、致命的というほどではない。
なお、本稿では横向きでの設置をメインに紹介しているが、ノートPCと併用する場合、縦置きのほうがフィットしやすい。本製品を縦向きにした時の高さは14型ノートPCの高さとほぼ同じなので、高さもそろって見える。常時利用するのならば、むしろこちらがお勧めだ。
ちなみに製品ページなどに記載はないが、2つのUSB Type-Cポートを用いたパススルー充電にも対応している。試しに最大出力65WのUSB PD(Power Delivery)充電器を接続したところ、PC側では51Wの充電器に接続していると認識された。
なお、本製品にはケーブル直結型の充電器が付属しているが、こちらは出力が最大12W(5V/2.4A)しかないので、パススルー充電には利用できない。
続いて、OSDメニューについて見ていこう。OSDメニュー操作用のボタンは前出のポート類と同じく左側面に配置されている。ボタンは「アップ」「ダウン」「メニュー」の3つで、「メニュー」は「決定」を兼ねている他、長押しすると「戻る」としても機能する。
OSDメニューのデザインは同社のバータイプモデル「LCD14HCR-IPSW」に用いられているのと共通で、横向きに並んだ大分類相当のメニューを選ぶと、小分類にあたるメニューが下段に表示される方式だ。アイコンの分かりやすさはやや微妙だが、画面の小ささの割に操作性は悪くない。
この他、メインメニューを表示させずに上ボタンを押すとブライトネスの調整、下ボタンを押すと音量の調整をそれぞれ行える。特に本製品は接続のたびに画面の明るさがリセットされるので、前者の出番は何かと多い。総じて基本的な部分はしっかりと押さえられており、使い勝手に優れているといえるだろう。
以上ざっと使ってみたが、突出した特徴こそないものの、基本性能の高さが光る製品だ。8.9型という画面サイズであれば、タブレット(+アプリ)で代用する選択肢もあるが、本製品は解像度の高さに加えて設置方法が柔軟だったり、さらに音声出力の方法が充実していたりと付加価値も多い。実売価格も2万円台半ばと、タブレットを新規に買うよりはるかにリーズナブルだ。
一方で解像度にこだわらなければ、同じアイティプロテックの7型モデル「LCD7HVA-IPS」(1280×800ピクセル)が1万円台半ばで手に入るので、ライバルはそのあたりだろう。もっともこちらは卓上スタンドや吸盤付きスタンド、車載用アームが付属するなど用途が明らかに異なるので、比較にあたってはそれらの点を重点的にチェックしたい。上位の11.6型についても同様だ。
いずれにせよ、モバイルディスプレイでわざわざこういった小さなモデルを選択するのは何かしら明確な目的があるはずで、それらがフィットし、なおかつ前述の7型や11.6型モデルでは用途に合致しないようであれば、本製品は良い買い物となるはずだ。
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