NVIDIAが4月5日、eスポーツスクエア秋葉原(東京都千代田区)においてコンシューマー向けイベント「NVIDIA Gamer Day」を開催した。NVIDIAがこのようなイベントを開催するのは約1年前の「NVIDIA GeForce Day」以来で、今回は最新の「GeForce RTX 50シリーズ」の特徴をアピールすることが目的だ。
本イベントに先立って、同社はメディア向けにノートPC向けの「GeForce RTX 50 Laptop GPU」の説明会を行った。この記事では、メディア向け/コンシューマー向け両方のイベントの様子をお伝えする。
今回のイベントの主役は、GeForce RTX 50シリーズの中でも、ノートPC向けのGeForce RTX 50 Laptop GPUだ。デスクトップPC向けの製品(グラフィックスカード)は1月下旬から順次出荷が始まっており、いち早く入手しようとした人による“争奪戦”も記憶に新しい。並行して、PCメーカーからも搭載デスクトップPCが登場している。
先述の通り、GeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズを搭載するノートPCは3月下旬に出荷が始まったばかりだ。今回のイベントは同シリーズを搭載するノートPCの日本における“初披露”の場でもある。
GeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズに関する説明は、NVIDIAの澤井理紀氏(テクニカルマーケティングマネージャー)が担当した。
澤井氏のプレゼンテーションの要旨は以下の通りだ。
GeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズは、電力効率と性能において前世代(GeForce RTX 40 Laptop GPUシリーズ)と比べて大きな飛躍を遂げている。ゲーミングでは「DLSS(Deep Learning Super Sampling) 4」のマルチフレーム生成と、ノートPC向けの最新版「Max-Qテクノロジー」を組み合わせることで、「GeForce RTX 5070 Laptop GPU」搭載ノートPCであれば、前世代のフラッグシップ「GeForce RTX 4090 Laptop GPU」搭載ノートPCと同等のパフォーマンスを半分の電力で実現できる。AIにおいても、従来よりも2倍複雑なモデルを2倍の速度で処理できる性能を秘めている。
GeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズの概要。5070 Laptop GPUは、先代の最上位である4090 Laptop GPUの性能を半分の電力で実現し、2倍大きなAIモデルを2倍高速に実行できるというGeForce RTX 50シリーズでは、新しい「Blackwellアーキテクチャ」を採用している。Blackwellにはさまざまな新機能が搭載されており、AIのための「Tensorコア」は、新たにFP4(4bit浮動小数点)演算をサポートし、これまでよりも大きなAIモデルを扱いやすくなった上、(ピーク時の)AI処理性能が最大1800TOPS(毎秒1800兆回)と高速だ。また、ビデオエンジンもアップデートされ、4:2:2のカラーフォーマットに対応した。5090 Laptop GPUなら、エンコーダーを3基も搭載している。
Blackwellによって実現可能になったテクノロジーの1つが、DLSSにおけるマルチフレーム生成だ。これはAIによって複数フレームを生成することで、ゲームやコンテンツ制作におけるグラフィックスパフォーマンスを大きく引き上げる技術で、Blackwellアーキテクチャはこのマルチフレーム生成のために最適化されている。強化されたTensorコア、正確なタイミングでフレームを切り替えるハードウェアベースの「グリップメータリング」、AIとグラフィックスを効率良く実行させるための「AI管理プロセッサ」、これらのハードウェアとDLSSのAIソフトウェアが連携することで、品質と性能が高いマルチフレーム生成を実現している。
マルチフレーム生成によってグラフィックスパイプラインが大きく変わり、最初のフレームの4分の1だけが従来方式でレンダリングされ、残りの4分の3がAIによる超解像度で再構築され、続く最大3フレームの全体がAIによって新たに生成される。全体的に見ると、DLSS 4では表示されるピクセルの16分の15、約94%のピクセルがAIによって再構成または生成される。
GeForce RTX 50シリーズに採用されているGPUアーキテクチャ「Blackwell」の概要。第5世代のTensorコアと第4世代のRTコアを搭載した他、Laptop GPUシリーズでは省電力機能の「Max-Qテクノロジー」もさらに進化し、電力効率が最大2倍向上した実際のゲームでDLSS 4の機能をフル活用すると、DLSSを使わない場合と比べてフレームレートが最大8倍に向上する。1つ前の世代の「DLSS 3.5」と比べてもフレームレートは最大1.7倍向上する。さらに、DLSS 4では(超解像処理時に)「トランスフォーマーモデル」を導入することで、画質をさらに高めている。
DLSS 4の採用は、これまでのDLSSよりも早いペースで進んでおり、3月の時点で100以上のゲームやアプリがマルチフレーム生成に対応している。そしてさらに多くのタイトルが続々と対応予定である。
NVIDIAは、2017年に初代Max-Qテクノロジーを発表して以来、長い間ノートPCの電力効率向上に取り組んできた。GPUの世代が変わるごとに、電力効率をさらに高めるイノベーションや新機能を取り込んでいる。Blackwellにおいても、それは同様だ。
DLSSの効果。DLSSオフでは24fpsだったものが、DLSS 2の超解像度を有効にすると53fpsに、DLSS 3.5のフレーム生成+レイ再構成を有効にすると99fpsに、DLSS 4のマルチフレーム生成+Transformerモデルを有効にすると168fpsまでフレームレートが向上する(いずれも平均値)
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