たくさんのアイデアが浮かび、ありとあらゆる“形”を試してみたいのに、文章出力の効率が悪すぎてトライ&エラーがやりにくい――長文を書く仕事をしている人なら、誰もが感じるはずのジレンマだ。結局のところ、「質を追求する」か「効率的に文章を量産する」の二択を迫られることが多い。
筆者は「生成AIを活用すればもっと効率的に、しかし質は落とさずに文章を書ける」と期待して試行を繰り返してきた。しかし、その結果に何となく納得できず、出来上がった文章に違和感を覚えて、結局は自ら書き直すということを何度も繰り返してきた。
しかし先般、Anthropicの生成AI「Claude 4」と出会い、ついにAIと“共に執筆する”ための道筋を見つけたかもしれない。Claude 4による文章生成は、AIを単なる「情報整理の時短ツール」から「創造的パートナー」に変えたといえる。
この記事では、筆者がどのようにClaude 4を活用して成果を上げているかを紹介した上で、いまだ残る課題について記していきたい。
Claude 4を使ってまず驚いたのは、コード生成能力の飛躍的向上だ。
筆者はコードを書かなくなって、何十年も経過している。そのこともあって、前世代の「Claude 3.7 Sonnet」では、生成されたコードをきちんと動くものにするまで一苦労だったし、それをモディファイ(修正)するのも難しかった。
しかし、Claude 4では最初から実際に動作するコードを生成し、Web上でシミュレーションしてくれる。その上、指示に対して“じっくりと考えさせる”ことで、推論しながら必要な機能(コード)を補完し、エラーハンドリングまで考慮して「使える」コードを生成するようになった。モディファイの指示も的確に反映可能だ。
本格的な開発(プログラミング)で使うには、より多くのトークンを利用できる有料プランを契約しないといけないだろう。Claude 4の有料プランは米ドル建てで、個人向けのProプランが月額17ドル(年間契約)、Maxプランが月額100ドルから(月単位契約)となるが、ヘビーに使う人ならMaxプランを契約しても損はないと思えるほどに、コード生成能力は向上している。
しかし、筆者がClaude 4の進化でより優れていると感じたのは「生成文章の質」と、ニュアンスなどの「文章の調整を指示した際の感度の良さ」だ。単に情報をまとめるだけでなく、深い洞察や新たな視点も提示してくれる。
生成AIによる洞察や視点の提示というと、全く無関係な情報を結び付けて、まるで事実のように語る「ハルシネーション」を想起する人もいるかもしれないが、Claude 4のそれはそういうものとは異なる。あくまでも“事実”を出発点にした思考の旅の方向性を示してくれる。まるで優秀な編集者と議論し、記事の内容を煮詰めているような感覚だ。
特に、久しぶりに刷新された「Opus 4モデル」を使うと、時に筆者自身が気付かなかった論点に言及してくることさえある。
そして最も印象的なのが、会話を重ねるごとに専門性が高まっていく適応能力だ。同じスレッド内での対話を全てコンテキストとして記憶し、まるで専門の研究者のように振る舞い始める。
これは単なる学習ではなく、Claude 4がユーザーとの対話を通じて得られた情報やユーザーの応答を“背景”として次々に取り込んでいくことで起きる現象だ。日に日に“成長”していく様は、見ていて楽しかったりする。
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