ポータブルゲーミングPCは、ここ数年でひとつのジャンルとして定着し、各社が競うかのように高性能モデルを投入している。そんな中、AOKZOEから登場したのが8型の大画面とAMD製の最新APU(GPU統合型CPU)を搭載する「AOKZOE A1X」だ。日本では天空が正規代理店として販売し、同社のECサイト「ハイビームオンライン」などで購入できる。
ラインアップは複数あり、エントリーモデルの「Ryzen 7 8840U」モデル(32GBメモリ/1TB SSD)が15万8000円、「Ryzen AI 9 HX 370」モデルの32GBメモリ/1TB SSD構成が19万8000円、64GBメモリ/2TB SSD構成が23万8000円と、用途や予算に応じた選択肢が用意されている(価格はいずれもハイビームオンラインのもの)。
今回は、中位モデルとなるRyzen AI 9 HX 370モデルの32GBメモリ/1TB SSD構成を試用する機会を得た。Ryzen AI 9 HX 370のパワーはどれほどのものなのか、チェックしていきたい。
まず、今回レビューするモデルの主な仕様を確認しておきたい。試用機は「中位モデル」ではあるものの、現在市場に出回っているポータブルゲーミングPCとしてはハイエンド寄りだ。
構成としては、CPUコアとGPUコア性能が突出しており、いわゆる「AAAタイトル」をある程度プレイ可能な水準に達している。インタフェース類も充実しており、USB4やOCuLinkなど高速外部接続に対応している。これも、同クラス製品の中でもアドバンテージといえるポイントだ。
AOKZOE A1Xの外観でまず目を引くのが、8型の大型ディスプレイと、横長なボディーだ。
ネイティブランドスケープ対応のIPS液晶は、1920×1200ピクセル解像度で、アスペクト比は16:10という扱いやすい比率となっている。視野角や発色にも優れており、ゲームプレイだけでなく映像コンテンツの再生でも違和感がない。
本体サイズは約285(幅)×125(高さ)×21(厚さ)mmで、重量は約748gとなる。ポータブルゲーミングPCとしてはやや大柄で重めではあるものの、その分グリップ部にしっかりとした厚みがあり、実際に手に取ってみると“握り込む感覚”に優れる。
マットな質感のブラックボディーに、控えめなグラフィックスとLEDイルミネーションが組み合わされた落ち着いたデザインとなっている。“ゲーミングらしさ”はしっかりと備えつつ、過度に派手すぎることもない。バランスの良い仕上がりだ。
画面下部の左右には、ステレオスピーカーを内蔵している。手元から音が広がるような、没入感のある音が再生できる。音量自体は控えめだが、音の定位感や広がりはモバイル機としては良好な部類だ。
操作系は一般的なコンシューマーポータブルゲーム機に近い構成だ。ABXYボタン、十字キー、ショルダーボタン、背面トリガー、カスタムキーなどを備える。
アナログスティックには「ホールエフェクト方式」を採用しており、ドリフトの発生を抑えられるのが特長だ。6軸ジャイロセンサーとデュアルリニアモーターによる振動にも対応しており、対応ゲームでは直感的で迫力のある操作感が得られる。
パワフルなAPUを搭載するだけに、冷却機構にも工夫が施されている。背面には大きな吸気口を、上部には排気口をそれぞれ設けており、吸排気の経路をしっかり分けている。そのため、ゲームプレイ中の温度管理にも一定の安心感がある。
AOKZOE A1Xの外観的な特徴として、左背面に収納されたキックスタンドを備えている点がある。ヒンジ部分は無段階で角度調整が可能で、実際に使ってみると金属製のスタンド部がしっかりと本体を支えてくれた。据え置きスタイルで外付けコントローラーを使うような場面でも活躍する。
インタフェース類は本体の上下に分かれて配置されている。上部にはUSB4、USB 3.2 Type-A、3.5mmイヤフォンジャック、音量ボタン、電源ボタンと排気口を備え、下部にはUSB4の他、OCuLink端子、microSDメモリーカードスロットを備える。操作中にケーブルが手に干渉しにくいように工夫されているのはうれしい。
本体には、最大100W出力のUSB PD(Power Delivery)対応充電器と、USBケーブルが付属する。付属の充電器を使えば、超急速充電も可能だ。
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