プロナビ

Windows 11“25H2”は提供に向けた最終ステージへWindowsフロントライン(3/3 ページ)

» 2025年09月05日 06時00分 公開
前のページへ 1|2|3       

Windows PCのハードウェアが迎える3つの課題

 今回はハードウェアの話題で締めたい。そろそろ次期Surfaceの話題が出てくるタイミングではあるものの、以前のように新しいカテゴリーであったり、複数のバリエーションがあるSurfaceが大きくモデルチェンジするような話は聞こえてこない。

 むしろ、MicrosoftがSurfaceを含むWindows PCデバイスについて、現在抱えている課題を今後どのようにクリアしていくのかが気になるところだ。

 1つは競合との話だ。詳細については別の機会に分析するが、「Windows 11 SE」が2026年10月にEOSになることが話題となった。Windows 11 SEという名称に聞き覚えのない方も多いと思うが、2021年11月にリリースされた「Windows 11の”機能限定バーション”」だ。

Windows 11 SEのデスクトップ画面 Windows 11 SEのデスクトップ画面

 以前にも「Windows 10 S(S Mode)」のような製品がリリースされたことがあるが、あえてWindows本来の機能を絞ることでソフトウェアの価格を下げ、今回は教育分野で急伸するChromeOS対抗を狙った製品となる。

 ChromeOSはデバイス価格や管理コスト面で優位であり、同分野でのWindows陣営を主に価格面で苦しめてきた。ある意味で苦肉の策として出されたWindows 11 SEだが、中身はあくまでWindows 11そのものであり、ハードウェアの動作要件などは通常版と変わらない。

 これが使い勝手や性能面でネックとなる。加えてわずか5年での撤退ということで、ChromeOSのサポート期間(10年)と比較しても短く、この点での心証も良くない。

 同社はWindows XPやWindows 7の時代にもStarter Editionのような通常版OSにポリシー制限をかけただけのOSをリリースしており、こうした小手先での対抗策はそろそろ意味をなさないことを理解すべきだと考える。

 2つ目はトレンドの話だ。一部でAppleが599〜699ドルの価格帯に収まる低価格のMacBookを計画しているというウワサが出ているが、この対抗のためにもMicrosoftを含むPCメーカーは製品ラインアップを見直す必要がある。

 近年、Windows PCの価格はAI PCを前提としたプロセッサの高度化やメモリ容量の増加もあり、ハードウェア全体の価格が上昇傾向にある。加えて、トランプ政権で関税施策が推進されたことで、2025年後半以降に登場するハードウェアは全体に部品調達コストや製造/流通にまつわるコスト増から、さらに価格が上昇する危険性をはらんでいる。

 その一方で、米国では物価上昇から一般家庭の購買余力が下がっている状況が各種データから見られ、メーカーは販売価格の抑制に向けた施策を強いられることになる。

 先のAppleの新製品のウワサはこういったトレンドの中で出てきたものだが、ハードウェアとソフトウェアを両方同時にコントロールでき、調達力に関して世界的にもトップメーカーであるAppleだからこそという側面もあり、MicrosoftらWindows陣営がどのように取り組むかが気になるところだ。

 3つ目はArmベースのWindowsの話題だ。いまひとつブレイクの道筋が見えてこないQualcommのSnapdragon搭載PCだが、アプリケーションのArm対応が進む一方で、ゲームの世界でのアンチチートツール対応、日本でいえばIMEの対応状況でまだまだx86ベースの製品と比べて不利な面が大きい。

 Windows PCではどちらかといえばミッドレンジに位置し、価格と性能面でどっちつかずという部分もある。まず性能面については、次期Snapdragon X Eliteが2025年9月にハワイ州マウイ島で開催されるSnapdragon Summitで発表されるとみられる他、PC分野の“テコ入れ”に向けたいくつかの施策がQualcomm社内で走っているという話も聞こえてきており、おそらく2025年後半から2026年前半はArm版Windowsの話題が増えてくるだろう。

9月23日からハワイのマウイ島で開催されるQualcommの「Summit 2025」。今回はどのような発表がなされるだろうか

 Surfaceの新製品を含め、PCメーカー各社がWindows 10 EOSに前後した買い換え需要の先を見据え、おそらくやってくるであろうPC市場の混乱期に向けてどのような施策を打っていくのか、これから1年ほどは面白い時期になりそうだ。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月10日 更新
  1. 「次世代Apple Intelligence」をフル活用するにはどのような条件がある? 「Siri AI」は日本で使える? 知っておくべき対応モデルのハードル (2026年06月09日)
  2. 「macOS 27 Golden Gate」が2026年秋に登場 初のApple Silicon専用バージョンに (2026年06月09日)
  3. 実売1万円切りでパススルー給電にも対応! KTCの15.6型モバイルディスプレイ「H15F9」は“買い”か (2026年06月09日)
  4. 初のカラー対応「Kindle Scribe Colorsoft」の実力は? 通常モデルとの価格差1万7000円の価値を検証 (2026年06月10日)
  5. 「Geminiの技術は使うが、Geminiではない」 WWDC26で見えたApple流AIとプライバシー戦略の核心 (2026年06月10日)
  6. Apple Siliconはなぜ「オンデバイスAI」に強いのか? NVIDIA「RTX Spark」との比較で読み解くシリコン設計の哲学 (2026年06月08日)
  7. 高騰中のSSD、品薄のHDD──けれど“最終処分”のニーズは変わらず (2026年06月06日)
  8. ミニPCに強みの「MINISFORUM」 ミニワークステーションの新モデルから「謎の拡張カード」まで多彩な製品を披露 (2026年06月10日)
  9. 新GPU「RX 9070 GRE」搭載カード発売! 既存上位モデル「RX 9070 XT」との価格差に悩む声も (2026年06月08日)
  10. コンパクトボディーにスパコン並みのAI性能! 「NVIDIA RTX Spark」搭載ミニデスクトップPCを見てきた (2026年06月04日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー