AirPods Pro 3では、空間オーディオもこれまでより自然かつ広い音場で、質が高まっている。
クラフトワークの「Tour de France(Etape 2)」では、シンセサイザーベースの小気味良さが印象的で、頭の中を円形に駆け巡るリズムセクションが以前よりも自然に外へと広がり、回転の円形もより真円に近く感じられる。
よりアトラクティブな空間ミックスが施されている、Ava Maxの「Million Dollar Baby」では音の分離が改善され、より没入感の高い体験を得られる。
クラシック音楽でも、空間オーディオの改善効果は顕著に感じられる。デュダメルが指揮したラヴェルの「ボレロ」では、空間表現はもちろん、オーケストラの音の分離、だんだんと盛り上がっていくレンジの広さが、低音域再現能力の高さと相まって伴ってドラマティックな表現を支えている。
ハードウェアとしての再生能力の高さが、Appleの技術と相まって空間再現能力の向上につながったのだろう。
空間オーディオに対応していない楽曲について、Mike Posnerの「I Took a Pill in Ibiza」のサビセクションなど、近年のEDMに見られる音の広がりを重視したミックスにおいて、より広く開放的な音場表現を確認できた。
AirPods Pro 3はまた、世界最高レベルのインイヤー型アクティブノイズキャンセリングを実現している。
「Apple Intelligence」を活用したというキャンセリング能力は、全帯域で向上しており、特に中高音域のにおける改善は、新しいフォームインフューズイヤピースの影響も大きいと思われる。低音部のノイズキャンセリング能力の向上は、収音マイクの最適化などと合わせて大きい。トータルの体験の質は、オーバーイヤー型のノイズキャンセリングヘッドフォンに近いものだ。
Appleによると、ノイズキャンセリング能力は前世代比で最大2倍、初代比で最大4倍とされている。航空機のフライトや、日常の通勤における背景騒音を大幅に取り除いてくれる。
「超低ノイズマイクロフォン」と先進的なコンピュテーショナルオーディオ、新しいフォームインフューズイヤピースの組み合わせにより、さらなるノイズからの分離を実現している。
AirPods Pro 3の音質/ノイズキャンセリング能力の向上には、5種類のイヤピースサイズ(XXS/XS/S/M/L)の影響も大きい。
筆者の感覚では、従来よりワンサイズ小さいものがフィットするケースが多く、フィッティングの改善と発泡フォームの組み合わせによって、体感できるレベルでパッシブノイズの抑制能力が向上している。
このフィッテイングの良さとともに、AirPods Pro 3にはApple史上最小のカスタム心拍センサーも備えており、フィットネスでの体験をも向上させる。
毎秒256回の不可視の赤外線光パルスを発し、機械学習アルゴリズムによって加速度計やジャイロスコープからのリアルタイムデータを融合し、肌の色や動き、照明条件に関係なく高精度な測定を提供する。センシング開始までの時間は極めて短く、信頼性も高い。
ランニング時に心拍数の数値が大きく揺れることもなく、実用性は十分だ。iPhoneのFitnessアプリとの連携により、50種類以上のワークアウトタイプに対応し、心拍数とカロリーに加えてペースや距離などの指標をより正確に追跡することが可能だ。
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