理論性能はPS5超えのポータブルゲーミングPC「Lenovo Legion Go 2」でゲームをプレイしてみて分かったことLenovo Innovation World 2025(2/4 ページ)

» 2025年09月29日 12時00分 公開
[西川善司ITmedia]

Legion Go 2の強化ポイントは大きく2つ

 Legion Go 2のSoCは「Ryzen Z2」または「Ryzen Z2 Extreme」となる。Ryzen Z2 Extremeは、初代Legion GoやLegion Go S Powered by SteamOSが搭載していたRyzen Z1 Extremeの後継という位置付けで、同じ「Ryzen Z2」シリーズでもLegion Go Sが搭載するRyzen Z2 Goとは素性が全く異なる。

 CPUコアは最新のZen 5アーキテクチャを採用しており、8コア16スレッド構成となっている。8コアの内訳は、通常仕様の「Zen 5コア」が3基6スレッド、キャッシュ容量を削減した「Zen 5cコア」が5基10スレッドとなっている。ノートPC向けAPU(GPU統合型CPU)でいうと、「Ryzen AI 7 PRO 360」に近い。

 GPUコアはレイトレーシング対応のRDNA 3.5アーキテクチャで、CU(コンピュートユニット)は16基構成となる。理論性能は約11TFLOPSで、PlayStation 5のGPUコア(約10TFLOPS)を少し上回る。ただし、メモリ帯域は毎秒128GB止まりで、PlayStation 5の毎秒448GBよりだいぶ低い。そのため、メモリへのアクセススピードがカギとなるレイトレーシング処理の活用や、4K(3840×2160ピクセル)といった高解像度ゲーミングではPlayStation 5にはかなわないだろう。

 単体のGPUでいうと、演算性能的には「Radeon RX 6600 XT」(32CU構成で11TFLOPS)に近いが、メモリ帯域的には「Radeon RX 6400」(毎秒128GB)相当といったところ。

 端的にいうと、演算性能は高い反面、メモリ帯域は弱いのがRyzen Z2 Extremeを備えるLegion Go 2の性能特性となる。

Ryzen Z2 Extreme Ryzen Z2 ExtremeはRyzen Z2シリーズの上位SoCとなる。さらに上位に位置する「Ryzen AI Z2 Extreme」はこのSoCにNPUを追加したもので、CPU/GPUコアの性能は変わらない

 イベントに合わせて実施されたラウンドテーブルにおいて、Lenovoのクリストファー・ピッツァ氏(Lenovo Gaming担当グローバルマーケティングリード)は「Legion Go 2のスペックは、初代Legion Goユーザーから寄せられた要望を精査した上で決めた」と語った。

 強化ポイントの1つ目はディスプレイだ。初代ユーザーから寄せられた「有機ELディスプレイにしてほしい」という要望に応えて、1920×1200ピクセル(アスペクト比16:10)の8.8型有機ELディスプレイを採用した。このディスプレイは最大リフレッシュレートは144Hz、DCI-P3の色空間カバー率97%、標準最大輝度500ニトという仕様だ。HDR表示については「VESA Display HDR True Black 1000」認証を取得しており、HDR表示時に限ってピーク輝度を1000ニトに引き上げることもできる。

有機EL ユーザー要望に応えて搭載した有機ELディスプレイは、表示が美しい。引き続き10点マルチタッチにも対応している

 強化ポイントの2つ目は、メモリの容量を最大32GBとしたことだ。初代Legion Goのメモリ容量は16GBだったが、多くのユーザーから「もっとほしい!」というリクエストが寄せられたのだという。

 ちなみに、Legion Go 2はLPDDR5X-8000メモリを128bitバスで接続しているので、メモリ帯域は以下の通りとなる。

(128bit÷8)×8000MHz=毎秒128GB

 一方で、初代Legion Goでは16GBのLPDDR5-7500メモリを128bit接続していたので、帯域は以下の通りとなる。

(128bit÷8)×7500MHz=毎秒120GB

 メモリの最大容量だけでなく、アクセス速度も少し強化されたことになる。

 筆者はピッツァ氏に「これは素晴らしい性能向上だが、メモリ帯域が毎秒128GBだとレイトレーシング技術を活用するゲームにはまだ足りないと感じる。PlayStaion 5は毎秒448GBの帯域を持っているし、レイトレーシング技術を積極活用するには少なくとも毎秒400GB以上の帯域が必要だと考えている。Legion Go 2ではこの機能をあまり積極活用するつもりはないのか?」という質問をした。

 それに対してピッツァ氏は「Legion Go 2でレイトレーシングが全く使えないとは思わない。とはいっても、Legion 2 Goはラスタライズ描画のグラフィックス主体を想定したハードウェアだ」との返答が得られた。

クリストファー・ピッツァ氏 ラウンドテーブルで参加者からの質疑に応じるクリストファー・ピッツァ氏

着脱可能なコントローラーは健在 SSDは「Type2242」を採用

 Legion Go 2は、初代で好評だった着脱可能なゲームコントローラー(パッド)を引き続き採用している。初代向けコントローラーを持っている人は、後方互換性によって本機に装着して使うことも可能だ。

 ストレージはPCI Express 4.0接続のM.2 SSDで、サイズは全長の少し短い「Type2242」を採用している。選べる容量は国/地域によって異なるが、最大で2TBを選べる。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E(6GHz帯対応のIEEE 802.11ax)とBluetooth 5.3に対応する。Wi-Fi用のアンテナは2x2(2T2R)構成だ。

 米国における想定販売価格は、Ryzen Z2/16GBモデルが1100ドル(約16万4000円)前後、Ryzen Z2 Extreme/32GBモデルが1500ドル(約22万4000円)前後となっている。発売時期は国/地域ごとに異なり、10月から順次発売され、多くの地域では2025年内に入手可能となる見通しだ。

着脱可能なゲームコントローラー 着脱可能なゲームコントローラーは健在だ
ピン コントローラーの接続はポゴピンで行うようになっている(上が本体。下がコントローラー)

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