本機は有線接続の他に、USBドングルによる無線接続と、Bluetoothによる接続に対応しています。
Bluetoothは2つのデバイスとペアリングでき、切り替えて利用できます。ですが、TourBox Eliteシリーズにならったのか、切り替えボタンが本体底面に配置されています。本体を持ち上げないと切り替えられない上に、持つときに側面のボタンやスティックを誤爆させないように気を遣うので、感覚的にはTourBox Eliteシリーズよりもさらに不便です。
職場と家のような使い分けならともかく、Bluetoothを使って机上で複数のマシンを切り替える使い方は期待しないのがよさそうです。
また、本機は内蔵バッテリー式で、約60時間バッテリーで稼働(公称値は1日4時間で15日という表現)するとのことです。手元の実利用では、それより速いペースで残量が減っていましたが、集中して作業しても数日間は持ちそうです。
正直もう少し長持ちしてくれていい気持ちもありますが、残量はすぐに確認でき、USB Type-Cで充電できて充電時間も長くはないので、不便というわけでもないです。
個人的には、長期間使い込むデバイスでは内蔵バッテリーの劣化を抑える方法を考えてしまって頭のノイズが増える方なので、TourBoxシリーズのような乾電池式をエネループなどで使うのが気楽です。
このデバイスの評価を難しくしているのは、まだ若いデバイスなことです。
ハードウェアが良いのは大前提として、「TourBox」シリーズやCORSAIRの「Stream Deck」シリーズの発展で分かってきたのが、「深く作り込まれていくドライバアプリ」と「ユーザーコミュニティーの成長」、これらが合わさって、そのデバイスの導入しやすさや使いやすさが後追いで決まっていくということです。
本機は全体として、ひとまず作業効率化のための左手デバイスとしては足りる内容になっています。とは言え、作り込みの面では、これから進んでいくんだろうなとも想像しやすい状態です。
例えば、ドロップダウンメニューで「展開・畳むアイコン」に見えるUIが実際にはクリックできないとか、
スティックの押し込みにスイッチがあるはずが、まだ機能の割り当てがなかったり、
小ダイヤルの押し込みは、一見すると設定不能に見えて、DaVinci Resolveの「カラー調節のリセット」に予約されています。なので、スティックの押し込みにも何か役割が予定されているのかもしれませんマクロにキーストロークも登録できません。これだと、同社のタブレットドライバでは簡単にできたキーマクロのような操作を再現できません。
また、一部の日本語表示に不自然なフォント(いわゆる中華フォント)が使われていたり、
他にも、スティックにAltキーなどの装飾キーの長押しを設定できなかったり(ボタンでは可能)、マッピングを複製する機能がなかったりと、Photoshopでのイラスト制作用にサッと設定しようとしただけでも遭遇する引っかかりは正直ありました。
全体的にTourBoxを参考にした感のある内容とはいえ、よく言えばシンプル、その中でも不備や不親切が散見するというのはもったいないです。TourBoxの執念を感じる作り込みを同レベルで真似してほしいとまでは思いませんが、現状は本機の惜しい点がドライバアプリに集中しているのは確かです。
Wacom「Cintiq Pro」に迫る実力 27型4K/120Hzで約30万円のXPPen「Artist Pro 27(Gen 2)」でお絵描きして分かった魅力と妥協点
悲願のiPad対応を果たした「TourBox Elite Plus」 その実力は? プロイラストレーターが試したぞ
ロジクール初の分割式“左手デバイス"が登場 プロ絵師による「MX クリエイティブ コンソール」レビュー
夢の左手デバイスはまさかのゲームパッド「8Bitdo Micro」だった プロイラストレーターが試して分かった驚き
高級左手デバイスはどんな人に向いている? プロイラストレーターが「TourBox Elite」を試して分かったことCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.