きっかけとなったのは、社の方針のアップデートだという。
同社の創業は1959年だ。当初から葬祭用品を製造して葬儀社などに販売することを本業としており、昭和から平成にかけて福岡から札幌まで営業所を構える全国規模のメーカーに成長した。葬祭業界での存在感を地道に高めてきた会社だ。
しかし、今の日本は少子高齢化に伴う葬儀の縮小などが著しく、業界にも荒波がきている。そこで、企業だけでなく消費者にも選ばれる企業になるよう方針を改めた。本社を石川県小松市から金沢市に移した2019年春のことだ。
「B to BのビジネスモデルからB and B to Cでいこうと。葬儀社さんを通してだけでなく、当社も直接エンドユーザーの方々に働きかけて、新たな別れのビジョンなど、私たちの考えを知ってもらえるようにしようと考えました」(西河さん、以下同)
本業との関連で消費者につながるとなると、葬儀の生前見積もりやエンディングノートセミナーといった“終活”イベントがスタンダードだが、それゆえに埋もれやすいし、目を向けてくれる年代も一定以上が中心になる。そこで業界から遠いであろう10代や20代をターゲットに展開すると決めた。
構想を練って最初に形にしたのが、2024年3月に金沢大学の学生と共同で取り組んだ「死ンキング展」だった。入棺体験や「一週間後に死んでしまうとしたら……」といった死に関するシミュレーションを体験するイベントで、金沢市街のスペースを借りて実施した。
これが評判となり、2025年には本社で発展形イベント「死ンキングナイト」を展開。さらに金沢市が首都圏で開催したイベントでの登壇をきっかけに、2026年6月には「死ンキングナイト」を渋谷のTOKYO CULTURE CULTUREで開催することになった。
そこで、死ンキング16タイプ診断の原型が披露されることになる。
おにぎりの構想はまだなかったが、時間心理学や実存心理学、死生学の知見をベースにした設問から回答者の死生観を4軸(時間展望の志向、価値提供の志向、状況対応の志向、人生価値の志向)で分析する根幹のデザインはここで形作られた。
なお、コンテンツ制作には診断コンテンツ制作サービスの「ヨミトル」を利用している。
「どんな価値観を軸に選ぶかは社内でかなり話し合いました。最終的に弊社が大事にしたい軸を4つに定めて、そこから内容や分量があまり重くならないよう、全体のバランスも意識して設問を作っていった流れです」
安易に特定の価値観に関わる部分――例えば生まれ変わりや死後の復活など――を問えば不要な踏み絵になりかねない。そうした角が立つ問いは避けつつ、「自分の力ではどうにもならない大いなる流れ(運命)を信じている」などの表現で宗教観を尋ねるあたりに、作り手の慎重さが現れていると感じる。
そして渋谷でのイベントの翌月、オンラインでいつでも試せる現在の形が完成した。
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