Apple参入のうわさで沸く2026年 パイオニア・サムスンが魅せる「折りたたみスマホ」の現在地(2/4 ページ)

» 2026年09月09日 11時00分 公開
[林信行,ITmedia]

折りたたみでも妥協しないカメラ性能

 いや、Fold8 Ultraの進化はそんなものではない。折りたたみスマホは、大きな画面を2つも搭載していたり、折りたたむ分、閉じた状態ではフレームが重なって厚くなったりと、構造上、高価/分厚い/重いの三重苦を背負いやすかった。

 そして限られた本体の厚さや内部空間に収めるため、カメラの望遠性能などでも通常型の最上位機ほど充実した構成にはできないという問題があった。

 しかし、Fold8 Ultraは約2億画素の広角カメラに加え、今回、約5000万画素の超広角カメラを備え、マクロ撮影にも対応する。その上で、本体を回転させても動画の水平を保つ「水平ロック」、暗所のノイズを抑えて色や細部を引き出す「ナイトグラフィー」、明暗差の大きな場面でも白飛びや黒つぶれを抑える約2億画素でのHDR撮影も備える。

 広角や超広角での8K動画撮影に加え、編集に適した記録形式「APV」や、映画のような色調に仕上げる「Cine LUT」まで、映像制作の機能も充実している。

 もっとも、望遠カメラは光学3倍で、全ての撮影性能が通常型の最上位機と同じになったわけではない。また、処理性能はFold5の時点で既に当時の最上位クラスのプロセッサを搭載していた。今回の進化は、そういった高い性能を、さらに持ち歩きやすい形に収めたことでもある。

Fold8 Ultraで撮影した夕日。折りたたみスマホのカメラでありながら、望遠でも画質でも妥協をしていないのがFold8 Ultraだ。このような夕日の写真を撮ると、他のスマホでは画面上に青い点などが写ってしまうことがあるが、AIを使ってそれを消して美しい写真を撮ることができる

 例えば、Fold5は閉じた厚さが約13.4mm、重さが約253gだ。同年のiPhone 15 Proは約8.25mm/約187gで、大型のPro Maxでも約221gだった。Fold8 Ultraは約8.9mm/約215gだ。Fold5から厚さを約34%、重さを約15%減らしたことになる。

 現在のiPhone 17 Pro Maxは約8.75mm、約233gなので、厚さの差はわずか0.15mmほどで、むしろ約18g軽い。開くと本体の厚さは約4.1mmしかない。

 いずれもカメラの突出部を含まない公称値だが、折りたたむ仕組みと大画面を抱えたまま、通常の高性能スマホと携帯性を比べられるところまで来た。

 しかも、バッテリー容量はFold5やFold7の4400mAhから5000mAhへ増加した。有線の急速充電も25Wから45Wとより高速になった。容量の増加がそのまま利用時間の増加になるわけではなく、大きな内側の画面をどれだけ使うかでも変わるが、薄型軽量化とバッテリーの増量を両立している点は見逃せない。

本文では触れていないが、あまりに薄さを追求したFold8 Ultraは望遠レンズもあきらめなかったため、少しアンバランスになっている部分がある。カメラの突起だ。カメラ部分の出っ張りがあるので、カバーを活用しないと水平に置くことができない。しかし、動画を見たり、本を読んだりするのにそこまで支障は感じない。左からiPhone 17 Pro Max(左右段差はなく、上下で段差がついている)、Flip8、Fold8、望遠レンズも付いたFold8 Ultra、望遠レンズを省略していた3世代前のFold5だ

極薄ボディーの代償と、日常利用における実用性

 より薄く、より軽く、より長時間動作して多機能と、そんないいことずくめの進化ができるのかと疑いたくなるが、Fold8 Ultraに死角がないのかと言えばそんなことはない。もちろん、この薄さ軽さの中で物足りなく感じるものもある。

 それは、内蔵スピーカーからの音声の品質だ。さすがにあれだけ薄くするとなるとそこまで良い音質のスピーカーは入れられなかったか、音も小さめで品質もそこまでは良くないと感じた。音響処理の対応と、実際に内蔵スピーカーから聞こえる音の満足度は別の話だ。

 もっとも、これはFold8 Ultraで新たに感じたことではなく、従来機から割り切られてきた部分のようにも思える。考えてみれば今時、移動中や外出中の動画視聴などではBluetooth接続のイヤフォンなどを使っている人も多いだろう。これらを接続すれば、本体を開いているか閉じているか、縦横どちらに構えているかに関わらず、左右の耳に対応したステレオ音声を楽しめる。

 空間オーディオの利用には対応機器やアプリなどの条件もあるが、「良い音はイヤフォン/ヘッドフォンとの組み合わせで」という使い方なら、この薄さ軽さと高い性能は、多くの人にとって価値あるものだといっていいだろう。

 また、防水や防じんも折りたたみスマホでは難しいチャレンジだ。しかし、Galaxyでは2021年のFold3から対応し始めた。Fold6以降は異物の侵入への保護も加わり、IP48へ進んだ。最新のFold8 UltraもIP48になっている。

 これは細かな粉じんまで防ぐ等級ではなく、より優れたIP68の防じん/防水性能に対応した「Google Pixel 11 Pro Fold」のような製品も出てきている。だが、生活で使う分にはほとんど困らない。多くの人は、それよりかは薄さ軽さで日常的に受ける恩恵が、上回るのではないだろうか。

約90度に開いた状態も、モデルによって実は微妙に角度が異なっている。左上がFlip8で右上がFold8 Ultraだ。一応、この角度で安定するが、それ以外の角度でも止めることが可能な無段階調整に対応している。左下のFold8は閉じた状態と、全開状態あるいは写真のこの角度でしか固定できない(途中の角度で開いておくことができない)、右下のFold5は本当に直角で止まっていた

 ところで、8世代も進化を積み重ねてきた折りたたみスマホには、通常のスマートフォンしか使っていないと分からない独自の文化やデザイン的な工夫が多い。

 例えば、閉じた状態でWebページを見ていて、もっと大きな画面で見たいと本体を開くと、何もしないでも大画面に今見ていたWebページが広がった状態で表示される。ということは、当然、逆もそうだろうとWebページを開いた状態で本体を閉じると、設定によってはカバー画面にWebページが表示されないのだ。

 初めは戸惑うが、閉じるという所作には「今、行っていたことを終了させたい」といった意味や「今、見ていたものを隠したい」といった意味が込められていることもある。他の人が近づいてきたから隠したつもりの秘密の情報がカバー画面に引き継がれてしまうと、頭隠して尻隠さずの状態になってしまう。これはこれでちゃんと考えた上での配慮なのだ(当然、設定を変えて引き継ぐようにもできる)。

 Fold8 Ultraでは「常に続ける」「閉じた後にスワイプした場合だけ続ける」「続けずロックする」を選べる。Pixelの折りたたみモデルにも同様の選択肢があり、標準ではスワイプすれば続行、そのまま数秒待てばロックされる。

 これはGalaxyだけの動作ではない。また、Galaxyでは外側と内側でホーム画面のアプリ配置を変えられる他に、対応アプリを半開きで使うと、上半分に映像、下半分に操作ボタンやタッチパッドを置ける。開閉は、画面の大きさだけでなく使い方も切り替える操作なのだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月24日 更新
  1. “置き場所に困る”大容量ポタ電の壁を打破! 冷蔵庫を3日動かすEcoFlow「DELTA Gen4」シリーズが日本上陸 (2026年10月23日)
  2. 若者向けのカラフルな新「Dell 14S」が日本上陸 11月1日まで4.5万円引きの14万9800円から (2026年10月22日)
  3. FCCLが「FMV Keyboard X」の一般販売を開始 ハイスペックマウス「FMV Mouse X」も同時発売 (2026年10月22日)
  4. 「Galaxy Watch9」を1週間使って分かったこと Pixel Watchと比べた使い勝手は? (2026年10月23日)
  5. 折りたたみ型から薄型まで! スマホやタブレットで“本気”の文字入力に使える持ち運び用キーボードを選ぶコツ (2026年10月23日)
  6. 「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた (2026年10月21日)
  7. 天空が12月25日に発売する「GPD WIN Max 3」国内正規版 実機に触れてきた (2026年10月23日)
  8. 約22万円の新型「Mac mini」で初めてのローカルAI体験 ストレージの価格高騰対策にピッタリかも (2026年10月20日)
  9. スマホは「バッグの中」から「外」へ AULUMUのスリングバッグ2種で移動時のプチストレスを解消した (2026年10月22日)
  10. PFUから33万円キーボード「HHKB Professional Elite」登場! 英語配列のみで有線特化の“原点回帰” 全世界300台限定 (2026年10月22日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー