Apple参入のうわさで沸く2026年 パイオニア・サムスンが魅せる「折りたたみスマホ」の現在地(3/4 ページ)

» 2026年09月09日 11時00分 公開
[林信行,ITmedia]

新しいFold8は、なぜこの形になったのか

 さて、8世代目の製品発表で、サムスン電子が使っていたフレーズは「A New Shape Unfolds(新しいかたちが、ひらく)」で、その新しい形を担うのが、これまでの折りたたみスマホとは少し形状が異なる「Galaxy Z Fold8」だ。

 これまでの折りたたみスマホと比べると、ややずんぐりに見える印象で、閉じた時の本体サイズの縦横比は約2:3(比較しやすいように横幅を2でそろえると、Fold8 Ultraは2:4.35、iPhone 17 Pro Maxは2:4.19)なので、かなり縦方向に短いことが分かると思う。

新形状となる「Galaxy Z Fold8」(画面上の漫画はChatGPTで実際の紙のコミック本サイズで生成)。画面を開いた状態で横長に構えると、文庫本や漫画の見開きがちょうど読みやすいサイズだ(無駄な余白部分も少ない)

 実はこの新しい形状(主に本体の縦横比)が、Appleが準備しているとうわさされる折りたたみスマホに近いという話でも盛り上がっている。

 筆者は基本的にうわさ情報は聞き流す方針だが、このうわさを聞いた時ばかりは例外的に「最初からその形状なのはAppleらしい」と思ってしまった。というのも、これは非常によく考えられた形状だからだ。

 近年のブックスタイルの折りたたみスマホは「閉じれば従来のスマートフォン、開けばタブレット」という形が主流になっている。つまり、たたんだ時の姿は従来のスマホの形状に近い。Fold8 Ultraに限らず、GoogleのPixel 11 Pro Foldやその他のメーカーの製品も、近年のブックスタイルの多くがそうだ。

 これに対して、Fold8の縦横比は開いても閉じても、それぞれの画面がさまざまなコンテンツに自然になじむよう、縦横比を考え抜いた形、つまり折りたたみを前提に再設計したサイズ「折りたたみネイティブサイズ」と言える。

 Fold8は、閉じた状態の本体サイズの縦横比は約2:3だが、そこに用意されたカバー画面のアスペクト比は約10:16になっている。横長に持てば16:10で、ハイビジョン以降、4K/8Kを含む一般的なTV画面の16:9に近い比率だ。

 つまり、Fold8は閉じた状態でも横向きに構えれば、TV番組などの映像コンテンツを比較的少ない余白で楽しめるサイズになっている。ただし、映画にはさらに横長の作品も多く、上下の黒帯がなくなるわけではない。

 では、開くとどうなるか。開いた時の画面のアスペクト比は約4:3だ。これはハイビジョンでワイド化する前の時代のTV画面のアスペクト比で、こちらも多くのコンテンツと相性が良いサイズだ。

 例えば、一般的な文庫本を開いた時の縦横比はおよそ4:2.82、昔の35mmフィルムの写真の縦横比は3:2だが、これは横幅の比率を4に直すと4:2.67で、どちらもそれほどスペースを無駄にせず画面いっぱいに広げて楽しむことができる。

 Fold8の画面のアスペクト比は、閉じた状態でも開いた状態でも既存メディアと非常に相性が良い。

 しかも4:3というアスペクト比は、長い辺と短い辺の違いを感覚的にも明確に捉えられるサイズなのも良い。通常の状態で構えると確かに横長だし、90度回すと明らかに縦長になる。

Fold8での撮影例。縦位置で持ってもFold8 Ultraほどサイズが大きくないので、撮影もしやすい

 では、従来スマホに近い形を持つFold8 Ultraなどの一般的なブックスタイルの折りたたみスマホはどうかというと、Fold8 Ultraの開いた状態での画面アスペクト比は長辺対短辺で約10:9だ。横長に構えた時の横を4で揃えると4:3.6となる。正方形の4:4に近く、実際に画面を見た時も、今、縦に構えているのか横に構えているのか迷う時がある。

 つまり、従来の折りたたみスマホの開いた状態では、縦に構えても横に構えても、画面の形の違いを感じにくいということだ。「これはかなりワイドな映画だから見やすいように横向きに構えよう」としても、余白の印象はそれほど変わらない。電子書籍に関しても、紙面と画面の形が合わない感覚が残る。

 これが縦横の長さのコントラストが大きいFold8だと、全く異なってくる。一番効果が分かりやすいのが、雑誌やマンガなどビジュアルを重視した静止コンテンツを楽しむときだ。

 Fold8の閉じた時のカバー画面は、雑誌やマンガの片ページを読むのに適している。では、開いた場合はどうかというと、開いて縦長に構える(本体を横向きにする)と閉じていた時よりもより大きなサイズで片ページを楽しむことができる。

 一方、開いた状態で横長に構えると、これが何と雑誌やマンガを見開きで表示した時にピッタリの形状なのだ。もちろん、2ページを1画面に収めるため表示は少し小さくなるが、それでも十分楽しめるサイズだ。

 このように、構える向きによって使い方の変化が楽しめるのは「折りたたみネイティブサイズ」とも言えるFold8の形状が生きるところだろう。

実は、Fold8のメイン画面(右上)は縦長が最大の魅力かもしれない。本や雑誌、マンガなどの1ページだけを拡大表示するのにちょうど良い縦横比で、1ページ表示にするとかなり文字なども大きく読みやすくなるのだ
「Taipei Fashion Week」のランウェイショーで撮影し、YouTubeに投稿した16:10の動画を再生しているところ。左上がFlip8、左下がFold8、右下がFold8 Ultra。Fold8 Ultraが画面サイズは大きいはずなのだが、縦横日の関係でタイトル情報などを表示する余裕はあるが動画そのものの、サイズは小さくなってしまっている。それに対してFold8は、絶妙なサイズ感のおかげでタイトルなどを表示する余白こそないものの、動画をより大きな表示で楽しめている

 ただし、実際に片ページと見開きが切り替わるかは、電子書籍アプリや設定による。判型によって余白も変わるし、7.6型の画面で細かな文字が詰まった雑誌を見開きにすると、拡大したくなる。8.3型のiPad miniの代わりを、あらゆる場面で務めるわけではない。

 それでも、タブレットを持って出なかった日に紙面を広げられる気軽さには価値がある。

Fold8は、サイズ的にはかなり工夫されているが、ちょっとだけ残念なのが机に置いて開く時の角度が0度/約90度/180度の3段階しかないことだ(Fold8 Ultraだと無段階で自由な角度を選べる)

 重さはUltraよりさらに軽い約201g(実測値は206g)だ。一方、カメラは広角と超広角の2眼で、Ultraのような独立した望遠カメラはない。単なる上位/下位というだけでなく、撮影や複数アプリでの作業を重視するか、読むものや見るものとの相性を重視するかで、選び方が変わるモデルなのだ。

 そして、小さくたたむFlip8も、進化をやめていない。

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