増収増益のソフトバンク、「X+X=X」の方程式で「4000万回線実現」と孫氏

» 2010年10月28日 23時30分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo ソフトバンクの孫正義社長

 「201X年に4000万回線を実現する」――ソフトバンクが10月28日に行った2010年4〜9月期の決算会見で、同社の孫正義社長は、現在約2400万あるモバイル回線契約数を2010年代中に4000万契約に増やす計画を明かした。iPhoneやiPadといったスマートデバイスに引き続き注力することで、4000万回線構想の実現を目指す考えだ。また、同社の電波エリアが「満足できる状態にない」と語り、経営の最重要課題として改善に取り組むとした。

 同社の売上高は前年同期比9%増の1兆4650億円、営業利益は37%増の3155億円で、増収増益となった。5期連続で営業利益を増やしたことや、純有利子負債をボーダフォン買収時から約9300億円減の約1兆4500億円にしたことなどを孫氏は紹介し、「一言で申し上げて順調」と胸を張る。


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 事業の主軸である移動体通信事業は、4月〜9月の契約純増数が前年同期の2.3倍となる160万を記録し、他社を上回るペースで増加。また、世界的にも減少傾向のARPU(1人あたりの月額利用料)が、データARPUの上昇により増加トレンドにあることを孫氏は強調する。そして、こうした好調を支える重要な要素として、スマートフォンやタブレット端末、特にiPhoneとiPadの存在をアピールした。

 孫氏は、同社の端末出荷台数におけるスマートフォンの比率が「他社よりも高い」とし、「特に新規契約では相当に比率が高い」と説明した。具体的な数字について孫氏はコメントをさけたが、Gfk Japanの携帯電話販売ランキングで「iPhone 4」が17週連続で首位を獲得している状況などを踏まえると、同社のラインアップの中でiPhoneの人気が飛び抜けているのは明らかだ。また、同社のデータARPU増加にも、インターネットと親和性の高いiPhoneの普及が一役買っている。

 ドコモやKDDIもAndroid端末を中心にスマートフォンの取り組みを強化しているが、孫氏は「iPhoneのそっくりさんも出ているが、似て非なるもの」とiPhoneに絶対の自信を見せる。ソフトバンクはAndroid端末「HTC Desire II」や「HTC Desire HD」を用意するなど、iPhone以外のスマートフォンにも取り組んでいるものの、スマートフォンやタブレット端末の分野では「iPhone、iPadの優位は当分揺るがない」というのが孫氏の考えだ。また、iPhoneにおいては、女性ユーザーの比率が増加していると説明し、先進性を求める男性だけに留まらず、人気が定着しているとの見方も示した。

勝利の方程式「X+X=X」で契約回線4000万の実現目指す

photo 同社が掲げる“勝利の方程式”

 スマートフォン事業での優位性を再三強調した孫氏は、同社の“勝利の方程式”として「X+X=X」という謎めいた式を示した。この式におけるX印は、“何かが下降傾向になり、何かが上昇傾向になる”ということを上昇線と下降線の交差で表現した図のようだ。1つめのXは“スマートフォン比率が増え、従来端末比率が減る”、2つ目のXは“スマートパッド(タブレット端末)比率が増え、PC比率が減る”という意味がこめられており、これにより“ソフトバンクが増え、他社が減る”という3つ目のXが導き出せるという。

 スマートフォンの比率が徐々に増加するという予測は、ソフトバンクに限らずNTTドコモやKDDIにも共通しており、各社はスマートフォン事業を加速させている。これに加えて孫氏は、iPadのようなタブレット端末がPCに取って代わると主張。iPhoneやiPadを持って以来、PCに触れなくなったという自身のエピソードを語り、「一般的にそうなる時代がいずれ来る」と続ける。「極論を言えば、ノートPCを持っているのが恥ずかしい、ネットブックは隠さなければならない時代が来る」(孫氏)


photo iPhoneの女性ユーザー比率の変化

 こうした中で孫氏は、iPhoneとiPadという武器を持ち、スマートデバイス事業に他社よりも注力するソフトバンクが“勝利し続ける”という青写真を描く。そして、勝利の方程式の先にあるものとして、2010年代中の4000万契約の実現を挙げた。「言ったからには何が何でも実現する。どこかの段階で4000万回線を実現する」(孫氏)。スマートフォンやタブレット端末の分野でナンバー1の地位を築き、契約数の純増が続けば、「十分に射程圏内に入る」数字だと孫氏は主張した。

「弱点」は電波エリア ウィルコムの資産を生かし強化

 強気な発言を繰り返す一方で、電波エリアが自社の弱点であることを認めた孫氏。経営の最重要課題と位置付け、「何としてもカバー範囲を良くしたい」と意気込む。2010年3月末には約6万局だった基地局数を、2011年3月末までに約12万局に倍増させる目標で、2010年9月末時点で7万局と3万の増設予定地を確保しているという。また、基地局の増設においては、同社が支援するウィルコムの基地局ロケーションやエンジニアを生かしていくとした。

 ウィルコムの再建に関して孫氏は、自社が減益傾向にあったボーダフォンを買収し、再生させた経緯になぞらえ、「ウィルコムにおいても何とかできるのではないかと思っている」と語った。

 そのほかネットワークに関しては、通信速度向上の施策についても話が及んだ。「いくつかの方法で速度を上げようと考えている」と孫氏は語り、そのうちの1つは「11月の発表会で触れさせていただく」とコメントした。

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