浮川氏は、手書き入力の魅力を「頭の中にあることをストレートに入力できる」と表現する。キーボードを使い慣れた同氏であっても、手書き入力では「できあがった文章がより整っている」という違いが現れるのだという。
また、手書き入力が「手で漢字を書くことの大切さ」を尊重できるシステムだとも説明。「子供たちに“発音が分かれば漢字が入力できる”という安直さを与えていいものか」と問う。7notesはひらがなの手書き文字を漢字に変換できるが、教育用途を想定すれば「正しく漢字を入力しないと認識されない」ようなシステムも考えられると同氏は話す。
7notesの開発では、“できるべき”と思う機能を「100点満点じゃなくてもいいから入れる」(浮川氏)ことにもこだわった。その1つが、手書き文字のフォントサイズの変更や範囲選択の機能だ。7notesでは、テキストデータと同じ感覚で手書き文字を範囲指定し、コピーやペースト、さらにフォントサイズをはじめとする文字装飾の変更などができる。
「ビットマップ画像のように見えても“文字は文字”だ。原点に戻り、なぜカーソルが動かせないのかと考えた」(浮川氏)。同機能では、部首が離れた手書き文字の間にカーソルが合ってしまうことがあるなど、完璧でない部分もある。しかし、「ある種の割り切りと得られるベネフィットのバランスを取って」、製品版への採用を決めたという。
浮川氏は7notesをグローバルに展開する考えで、英語版の準備を進めている。スマートデバイスの登場により「未来の先取り合戦が始まっている」と浮川氏は語り、「なぜ若い人が(世界に向けたチャレンジを)やらないのか」と訴えた。
従来のPC向けソフトに比べ、スマートデバイスでは“無料・100円アプリ”をはじめとする安価なソフトウェアがあふれている。浮川氏は、「100円ソフトが多いのは将来性が大きいから」と説明し、iPadの出荷が年間4000万台を見込むといったアナリストの予測を挙げながら、「100円でもいいからとにかく世界シェアを取りたいという人がたくさんいる」と話した。一方、日本ではソーシャルゲームなどの分野を除くと、そうした動きが見られないと考える。
「踊る阿呆(あほう)に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々」と、世界にかける自らの思いを表現する浮川氏。インターネットを通じて世界へ簡単に製品を届けられる今、世界への挑戦を「やらないと損」と力説する。
「世界でシェアを取れば、日本で100万円売れたものが世界で1億円売れる。失敗して100万円しか売れなくても日本と同じ。私は62才になりましたが、面白いと思っていますよ」(浮川氏)
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