連載の第1回「なぜいまLINE@なのか?」でもTwitterやFacebookとの比較について少しだけ触れた。そこでは、双方向のやり取りが生じないことのメリット/デメリットがあると述べたが、LINE@の事例を取材するにつれ、簡単に「友だち」になってもらえる半面、ブロックされるリスクも大きい面も見えてきた。
多くの企業は「週1回、多くても2回」の情報発信に留めており、その内容も顧客に直接的なメリット――割引や特典などが含まれていなければ、ブロック率は格段に上がってしまう。ナポリスの事例のように、マスコットキャラクターからのメッセージという演出を凝らしても、LINE@だけでは顧客の共感やロイヤリティーをじっくりと醸成できるツールにはなかなかなりにくい、というのが現状ではないだろうか。
本稿執筆時には、パナソニックが公式Facebookページの運営を止めてLINE活用に専念するというショッキングなニュースが流れてきたが(参考:Facebookを止めてLINEを強化、「CLUB Panasonic」方針転換の訳:日経デジタルマーケティング)、多くの企業ではTwitter、Facebookあるいはブログといった従来のメディアと組み合わせてLINE@を運用している。主立った特徴を以下にまとめておくので、自社のサービスや運用体制を考慮しながら組み合わせ方法を検討していただければ幸いだ。
LINE@ | ブログ | |||
---|---|---|---|---|
速報性 | ◎(Push型) | ○ | ○ | △(Pull型) |
認知度 | ◎ | ×(タイムラインに混入) | △(同左) | △(Pull型) |
ブロック | ×(ブロックが容易) | △(ブロック機能あり) | △(いいね!の解除) | ○ |
コミュニケーションコスト | ◎ | △(メンションへの対応) | △(コメントへの対応) | △(同左) |
ビジュアル演出 | ○(規定の枠内での演出) | △(リンクのみ) | ◎(画像へのいいね!による流入) | ○(自由度が高い) |
共感醸成 | ×(高いブロック率・限られた情報量と内容) | △(テキスト中心で文脈が途切れる) | ◎(ページ内に情報をストック。コメントによる交流も) | ○(自由度は高いが、認知と流入には仕掛けが必要) |
クーポン提供 | ◎(容易・高機能) | △(別途サービス連携が必要) | △(規約遵守に要注意) | ○ |
EC連携 | ○(ただしランディングページ経由) | ○(リンク) | △(同上) | ○ |
(上の表は自社のサービス内容や実現したいレベルによっても評価は異なってくる。あくまで参考としていただきたい)
これまで見てきたように、そのユーザー母数の多さ、リーズナブルな価格設定からも魅力的なLINE@だが全てのニーズを満たす訳ではない。実際「5000円分のメリットを見つけられなかった」として、早くもリタイヤしてしまう事例も見受けられる。この連載で見てきたような特徴や、機能、あるいは限界をよく理解した上で活用していきたいところだ。
LINE@を運営するLINE株式会社にも、さまざまなリクエストが届いているという。ナショナルクライアントが中心の公式アカウントとの差別化を図りつつ、細かなニーズに応えていきたいという話も前述のこの夏発刊予定の新著の取材の中で確認できている。国内に名実共にその拠点を置いたLINEならではのスピード感に期待しながら、本連載をいったん締めくくりたいと思う。
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