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» 2004年01月16日 22時35分 UPDATE

3.5Gがやってくる〜ドコモは3.6Mbpsから

各社は3Gへの取り組みを強化しているが、早くも3.5Gへの動きが活発になってきた。ドコモは2005年前半にはHSDPA方式を導入、当初の端末は最大3.6Mbpsで通信可能になる見込み。

[斎藤健二,ITmedia]

 2004年が3G決戦の年なら、2005年は3.5Gの導入が目玉になりそうだ。

 3.5Gとは、KDDIの「CDMA2000 1x EV-DO」(サービス名CDMA1X WIN)、ドコモやボーダフォンなどW-CDMA陣営では「HSDPA」という通信方式を指す。EV-DOが“Evolution Data Only”、HSDPAが“High Speed Downlink Packet Access”の略であるのを見ても分かるように、いずれもインターネット的なパケットデータ通信専用の通信方式だ。

 KDDIは既にEV-DOを使って、800MHz帯(1X WIN)、2GHz帯(専用端末)で既にサービスを開始している(2003年10月の記事参照)。ドコモは2005年前半にはHSDPAネットワークを整備し、端末を投入してくる予定だ。ボーダフォンは「グループとして研究はしている」と答えるに留まっている。

 速度は、EV-DOでは最大2.4Mbps(平均600Kbps)、HSDPAは最大14Mbps(平均2〜3Mbps)に達する。ただしドコモが公開した資料によると、サービス開始時、ネットワーク自体は14Mbps対応だが端末は3.6Mbpsまでに速度を制限する形になる。

世代 通信方式 下り最大速度 採用キャリア
2G PDC 28.8Kbps ドコモ、ボーダフォン
3G W-CDMA 386Kbps ドコモ、ボーダフォン
3G CDMA2000 1x 144Kbps KDDI
3.5G CDMA2000 1x EV-DO 2.4Mbps KDDI
3.5G HSDPA 14Mbps ドコモ予定

※PDCのパケット通信は2.5Gと呼ばれる場合もある

ks35g.gif ドコモ資料より。2005年前半にはスピード3.6MbpsのHSDPAに対応した端末を投入する予定。ただしこの時点でネットワークは14Mbpsに対応させる

3.5Gのメリットとは

 3Gが普及の途について間もないのに、早くも3.5Gがささやかれるのにはいくつかの理由がある。

 一つは、「装置ビットコストが従来の約10分の1」(ドコモ)と安いこと。テレビ電話などを当初想定していたW-CDMAと異なり、インターネット型のパケット通信に特化させることで、低コストかつ高速通信が可能となる。

 二つ目は、定額制の可能性が拓けることだ。3G──特にW-CDMAは音声とデータを同様のネットワークで伝えるため、電波の状態にかかわらずデータ通信速度がある程度保証される。ところが3.5Gでは電波の状態やユーザーの混み具合によってスピードがかなり変化する、ピーク速度重視の通信方式だという特徴を持つ。ユーザー数が多い場合も速度が低下するだけで済む。あくまでベストエフォートという形で定額制を導入しやすい通信方式だ(2003年1月の記事参照)。

 ドコモにとっては、定額制で先行したKDDIに対抗できる技術を早期に投入したいという考えがあるだろう。W-CDMA方式も、下り速度を現行の386Kbpsから2Mbpsに高速化する、上り速度を現行の音声端末の64Kbpsから386Kbpsに上げるというステップがある。これをスキップしてもHSDPAに進むのは、対KDDI戦略という見方もできる。

 HSDPAが始まれば、EV-DOは最大通信速度で負けることになる。ただし、EV-DO自体のEnhanced版も予定されている(2003年7月の記事参照)。CDMA2000 2x EV-DOは、1x EV-DOのチャンネルを2本束ねて使うものだ。1チャンネル当たり5MHz幅のW-CDMAと異なり、EV-DOは1.25MHz。2チャンネル束ねても必要な周波数幅はW-CDMAよりも少ない。

 一方、3Gの普及に目星がつかないボーダフォンは、「3.5Gとか4Gとか言う前に、まずは3Gを固めて」というスタンス。英国の親会社との関係も見ながら進めなくてはならないだけに、難しいところだ。

改めておさらいする、3Gって何?

 “G”という言葉が紛らわしいのだが、3Gとは3rd Generation=第3世代の略だ。80年代のアナログ方式を1G、90年代のデジタル方式を2G、その次ということで3Gと呼ぶ。利用する周波数帯域が2GHzであるのと混乱しないように注意。

 アナログ、デジタルに続く、3Gの簡単な呼び方がないのは説明が難しいところ。それは、ITU(国際電気通信連合)が定めたIMT-2000に合致するものを3Gと通称するからだ。

 3GはもっぱらCDMA方式を使うところが多いが、IMT-2000が認めた方式はCDMAだけではない。例えば、欧米で3Gというと、W-CDMAやCDMA2000 1x以外に、EDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)が注目されている。EDGEは欧州の2GであるGSMが進化したもので、CDMAではなくTDMA方式だ。

 かといえば、IMT-2000を満たしていても3Gと呼ばない場合もある。「CDMA2000 1xは2Gの延長の技術だ」として、現在でも2.5Gという呼び方をする人もいる。

 そんなわけで、○Gはかなり曖昧に使われることが多い。今回の記事の“3.5G”も明確な定義があるわけではなく、関係者があくまで“通称”しているだけだ。これは4Gも同様である。

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