女子大生、ケータイビジネスを考える

» 2004年07月20日 21時34分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 「最新の機能を使った、携帯電話の新しいサービスやビジネスモデルを考えよ」――。こんな期末試験を課す女子大がある。

 東京港区・芝の戸板女子短期大学では、PCの操作能力・知識を身に付けるための「情報コミュニケーションコース」を用意している。その中でも「情報コミュニケーション論2」では、主に携帯を扱った講義が行われている(2003年7月14日の記事参照)。

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 「ドコモの法人営業部に頼んでショールームを見学させてもらったり、コンテンツ業界からプロデューサーを招いてサービスについて教えたりしている」(戸板女子短大非常勤講師の木暮祐一氏)

 半期の学習をふまえ、どのようなアイデアが彼女たちから飛び出すのか、学内にお邪魔して発表を聞いてみた。

Photo 授業風景。室内には、1人1台のPCが割り当てられている

「ダイエット」「ブランド品」……女子大生らしい発想が続々

 学生たちから出されたアイデアは、やはり生活に密着したものが多い。例えば、「カラオケ店舗に行った際に、携帯からお気に入りの楽曲を手軽にリクエストできるようにする」というアイデアがあった。

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 実は、同様のサービスは既に第一興商がFeliCa携帯を利用して展開している(4月19日の記事参照)。会員登録をした上で、「DAMりもこん」を利用すれば、サーバに蓄積された個人の専用選曲リストを表示〜リクエストできる。

 木暮氏はこれを指摘した上で、「ところで、実際にビジネスをやろうと思えばカラオケ店舗とも交渉しなければならないけど、その点はどう?」と質問。

 女子大生の答えは「考えたことなかった……」。ちなみにこのビジネスモデル、月60万円の売上を見込むという手軽なものだった。

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 かと思えば、「400億円の売上がたつ」と強気の予想をするビジネスモデルもあった。

 彼女たちが着目したのは、“ダイエット”。携帯のカメラで食品を撮影すると、そのカロリーをただちに計算して表示してくれるという。前もって食品にRF IDなどを埋め込む必要があるだろうが、なかなか女性らしいアイデアだ。

 その収益モデルは、「カロリー表示機能を端末に盛り込む代わり、代金を4万円上乗せする。4万円×100万人で、400億円!」。木暮氏も指摘したように、端末メーカーが応じるかという問題はあるが、とりあえずは大胆な予測だ。

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 携帯から、自販機の情報を閲覧できるというアイデアもあった。最寄りの自販機で何が販売されているか、確認できるという。

 自販機をネットワーク化して管理しようという発想はあるが(2003年7月16日の記事参照)、「自販機の中身を知りたい」というニーズはさほど注目されていなかったように思う。ちなみにこの企画、学生たちのウケもまずまずだった。

 学生に好評だったものといえば、「携帯カメラを使ってブランド品が本物かどうかを判断できるシステム」などもあった。ブランド品のプライスタグに、自社開発の電子透かしを埋め込むという。

 「ヴィトンなどと提携して、100億売り上げます!」

5万円使う子もいるが、少数派

 講義の終わりに、彼女たちがどれくらい携帯を使っているのか聞いてみた。

 1人が「月5万円」と回答。しかし周囲の反応は「本当にー?」「それって自分で払ってるの?」「親だよ」「寛容な親だー」。教室内で聞いた限り、毎月1万円超を払う、というのが平均的な学生像のようだ。

 携帯で何をするか、という問いには「メール」「通話」が一般的。ただ、中には「空いた時間に、アプリでスロットをやる」という学生もいた。

 彼女たちにとって、携帯はなくてはならないツールとなっている様子。「携帯を忘れたら、1日ブルーになる」「私だったら、(家に取りに)帰る」「私もこないだ、帰ったもん」。

 最後に、木暮氏には内緒で授業の感想を聞いてみた。どうやら、「楽しかった」という声が多数派のようだ。「ドコモの先端技術を見られたり、海外のユーザーとテレビ電話をしたりして面白かった」。学生も、新機能には興味を引かれている。

 では、授業の不満はなかったか? 

 「半期の授業だけど、1単位しかとれないことかな」。これまた、学生らしい答えが返って来たのだった。

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