“新しい収益の柱”の先見えず〜ドコモ

» 2005年01月28日 19時49分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 従来の通信トラフィックからリアル連携へ──。非接触ICチップFeliCaの導入など、ビジネスモデルの転換を図るNTTドコモだが(2004年2月27日の記事参照)、その道のりは遠そうだ。

 ドコモが1月28日に開催した2004年度第3四半期決算で、平田正之副社長は、「従来思っていたよりも一定の数量が必要になる。テレビ電話などは生活習慣にまで踏み込んだものになる。当初の想定よりは、成果が出るのに時間がかかる」と、新サービス普及の難しさを表現した。

 FeliCa搭載端末も2004年12月末に130万台を突破したが、「やはり1000万台規模にならないと、目につくところまでいかない。多少時間がかかる」(平田氏)と、サービス普及の見通しには慎重。トラフィック収入は減少を続けており、来期のV字回復のためには新たな収益の柱を構築することが必須だが、未だにその形が見えてこない。

2004年12月末に130万台を超えたFeliCa搭載端末。FOMA比率も急速に増えている

 現在のところ、焦点はコスト削減に向かっている。平田氏は大きく2点のコスト削減策を挙げた。

 1つは、間近に迫った普及型FOMA「700iシリーズ」の投入だ(1月28日の記事参照)。「700iシリーズは(メーカーからの)購入価格を1万円程度下げられる見込み」とし、端末調達コストの削減を狙う。

 2つ目は設備投資だ。「現在設備投資の前倒しをしているが、いずれ償却費として効いてくる。小型基地局など、単価の安い基地局建設に努める」(平田氏)

 実際、決算を見ても物件費(端末の販売報奨金、インセンティブを含む)は前年よりも減少している。「(コストについては)聖域なき見直しをしている」(平田氏)

 第3四半期の決算内容は中間決算で発表した修正予想通り(2004年10月29日の記事参照)。対前年比4.8%減の減収だが、米通信オペレータAT&T Wirelessの株式売却に伴い(2004年10月27日の記事参照)、6995億円の収入があり、結果的には増益となっている。

2004年3月期第3四半期 2005年3月期第3四半期 比較増減
営業収益 3兆8283億 3兆6431億 4.8%減
営業利益 8430億 7514億 10.9%減
税引前利益 8360億 1兆2501億 49.5%増
第3四半期は第1四半期から第3四半期の計。4月-12月

解約率が1%切る

 この第3四半期(10〜12月)のトピックは、解約率がついに1%を切って0.95%となったことだ。9カ月通算でも1.03%と改善されている。

 「ファミリー割引など囲い込みの効果があった。ただし第4四半期は高まるだろう」(平田氏)

 ドコモはファミリー割引サービスを拡大し、家族間のiモードメール無料を業界に先駆けてサービス開始した。さらに無料通話分の2カ月繰り越しに加え、家族間の分け合いも可能にするなど、囲い込みに力を入れている(2004年10月18日の記事参照)。2004年12月末で、ファミリー割引の契約率は60%を超えた。

 パケット定額制サービスの導入なども合わせ、合計1700億円の減収要因にはなったが、効果は解約率低下として着実に現れてきている。

 ただし最大の商戦期である3月を含む第4四半期は、動きが激しく、毎年解約率が上昇する傾向にある。

 ARPUは減少傾向が続いている。ただしKDDIとは異なり(1月27日の記事参照)、2004年11月に施行された道路交通法改正の影響はないとした。「影響としてはごくわずかだろう。急に落ち込むというような状況にはない」

種類 対前年同期 ARPU
FOMA -350円 9860円
ムーバ -990円 6950円
総合 -690円 7300円
ドコモのARPU。通期では総合ARPUは7190円まで落ちる見込み

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