韓国メーカー初の日本進出を果たすPantech & Curitelに聞く(2/2 ページ)

» 2005年08月29日 18時29分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]
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世界展開しつつ現地化を重要視

 同社によると、今年末に販売予定の端末は、日本市場向けに新たに開発したもので、KDDI(au)とPantechとの共同ブランドで販売を行う。折りたたみ・スライドなどのデザインや価格などについては、まだ公表できないという。

 ただし同社が世界市場において大事にしているのはローカライゼーション(現地化)ということで、韓国とは違った日本市場に根ざした端末機が登場するとのことだ。

 Kim Hoemun氏は日本市場について「日本の端末デザインはシンプルで淡白という面で韓国とは異なっているので、デザインなどはKDDIと協力して進めている。また韓国の倍以上いる日本の8500万人のユーザは品質に対する水準が高いので、一貫したクオリティ管理が必要だ」と分析する。同時に、「私たちにとって(日本進出は)1つのチャレンジではあるが、多様なデザインや機能の携帯端末を開発・販売している韓国での経験を活かしたい」と意欲を示した。端末販売後は修理などを行うセンターを全国に設置しアフターケアも行う。

 現地企業の力が強い日本市場において、Pantechが勝ち抜くポイントは、やはり現地企業であるKDDIとの協力体制にあるだろう。日本市場へ進出するにあたって難しさを感じた点はという質問に、Kim Hoemun氏は「ユーザのニーズをうまく把握してやっていけるのかという点だった」と明かす。現地化を重要視する同社がこうした難しさを克服するためKDDIとの話し合いの場を設け、お互いに理解を深めつつ準備を進めてきたという。今後の広報やマーケティングも、KDDIとの二人三脚で展開していく予定のようだ。

 日本市場初参入となる今年の目標は「数十万台」ということだが「2006年にはさらに優れた端末を、5台程度はリリースしたい」と同氏は抱負を語る。来年はNTTドコモとFOMA端末供給の契約を果たしたLG電子(6月13日の記事参照)と同じ土俵で戦うこととなるが、「私たちはSamsung電子やLG電子のようにデジタル関連機器を幅広く手がけるのではなく、携帯端末のみの開発と販売を行う専門業者。大きすぎない適当な企業規模で、変化への対応が速いという長所を日本市場でも活かしたい」と意気込む。

SKYの子会社化でトップ5入りに弾み

 ところで5月に買収したSKテレテックだが、以前からのブランド名のをそのまま残す形で引き続き「SKY」ブランドの携帯電話を販売し続けている。

 Pantechの海外広報チームHwang Wonjoon氏は、「SKYブランドの存続に関しては一度、会社内部の者も含め大々的な調査を行ったが、国内ではSKYブランドの認知度が高くかつイメージもとても良いので、そのまま残すことにした」と説明している。

 SKYといえば洗練された都会的なイメージで、他社とは一線を画す高級ブランドとして人気を集めている。

 「(SKYブランドは)世界シェア5位入りを果たすための弾みとなり得る」と同氏が言うように、PantechとしてはSKYの強力なブランド力に期待している。一方、実用的でありながら斬新なデザインや機能を常に市場へ提案し続けるPantech & CuritelもSKY同様、国内では確立されたイメージと地位を持つブランドであるため、今後もこの両ラインを維持する形でマーケティングを行っていく意向だ。ちなみにSKYブランドの海外進出は今のところなく、国内のみでの展開となるという。

 「今回の買収でPantechグループの国内シェアは、Samsung電子に次ぐ2位に踊り出た。Pantech & Curitelは2000年に設立されたブランドだが、以降、積極的な経営方針により速いスピードで成長してきた」(Hwang Wonjoon氏)。攻撃的な経営スタイルで国内はもとより世界に販売網を拡大している同社。日本市場においても、同社の“So Cool”というキャッチコピーのような、新しい感覚の優れた端末をリリースしてくれることに期待したい。


佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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