「まずは100万、そして1000万会員も夢ではない」──“EZ GREE”でKDDIとグリーが目指すもの

» 2006年10月30日 20時05分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
photo KDDIコンテンツ・メディア事業本部長の高橋誠氏(左)、グリー代表取締役社長の田中良和氏(右)

 KDDIとグリーは10月30日、携帯での利用を前提としたSNS「EZ GREE」を11月16日より開始すると発表した。アクセスは「EZトップメニュー」→「EZサービスで探す」→「EZ GREE」から。

 EZ GREEはPC版GREEのSNS機能(友人の招待、プロフィール公開、日記の作成・公開、コミュニティの作成・公開、友人検索など)に加え、次世代インフラ「CDMA2000 1x EV-DO Rev.A」をいかした動画公開機能や、新サービス「EZ ニュースフラッシュ」「au My Page」などとシームレスに連携しながら利用できるケータイSNS。対応機種はKDDIのEZwebmultiコースないしEZ WINコースで契約する機種全般で、基本利用料は無料。PC版GREEと異なり、会員からの招待なしでも利用できる。今後2006年度末から2007年度にかけて、音楽やニュース、GPS機能、携帯アドレス帳、アフィリエイトなど「+SNS」を軸とする双方向/リアルタイム系のサービスも拡充していく。

 KDDIは2006年7月、グリーが実施した第三者割当増資を引き受け、3億6400万円を出資した。また、今回のSNS開始以前からオークションブログ検索エンジンなど、インターネットにおける成功モデルを携帯にも順次導入し、それぞれを連携させることで利用者増を図ってきた。

 昨今、携帯でのインターネット利用者はPCでの利用者を超え、加えてSNSもブログを超えて成長している。両社は携帯ユーザーの変化を、限られた情報のみを提供していた「有料情報」世代、検索エンジンを利用することで情報は無料・見たい放題に/ただし情報は見るだけとなる「無料情報」世代、そして、見るだけでなく情報発信/情報共有も行う「発信/共有」世代と分け、「ユーザーの変化はこの、“自己的に情報を発信/共有”する第3世代へと移ってきている」と、PCユーザー以上に携帯ユーザーの意識や使い方が大きく変わってきていると見る。

 Web2.0を活用する企業は、ユーザー自身が利己的な趣味/興味を追求し、サービスを利用することにより、副次的にユーザーデータを収集し、結果、その価値も高まるモデルを構築した。そのため、ユーザーが「参加する」という強い意識を持って自己的に行動するSNSは、同サイト経由でデジタルコンテンツやコマース事業なども促進できるものにもなる──という考えだ。

 グリーは、2448万契約を抱えるKDDI(2006年9月末現在。シェア26.1%)と組むことでオフィシャルサービスならではの利便性を付加した、有利な形でサービスを展開できる。例えば、最も見る機会の多い待受画面へ更新情報を自動的に配信したり、ユーザー向けポータルサービスとなるau My Pageへ「メール到着告知」が行えるなど、auの携帯ユーザーが自然にEZ GREEへアクセスできる仕組みや工夫が設けられている。KDDIは、ユーザー数増加・引き留め・顧客満足度の向上のほか、静止画・動画のアップロード利用数の増加に伴うARPUの増加や「ダブル定額」プラン加入への促進といった効果も期待できる。

 なおKDDIは、12月の投入を予定する東芝製端末「W47T」および「DRAPE」と同時期に、上り最大1.8Mbpsを実現するEV-DO Rev.Aも開始する。EV-DO Rev.Aについては通信速度が大幅に向上したことと、「テレビ電話サービス」以外に大きな訴求ポイントが見いだせず、KDDI小野寺社長も「テレビ電話機能を他社との差別化ポイントとなりうるサービスとして展開する考えはない」と述べたこともあった。しかし、今回のようなサービスは「自己的に参加する」という意識を持つユーザーにとって、通信環境の快適さが利用意向の向上にも大きく寄与することになる。もちろんRev.A対応端末でなければ利用できないことはないが、EZ GREEは2000億円規模もの投資を行い構築するEV-DO Rev.Aの発展にとっても重要なポイントになってくる。

 会員数500万人超を擁するミクシィに対し、PC版の登録ユーザー数が約35万人(2006年8月現在)と大きく差をつけられているグリー。しかしKDDI高橋氏は「目標会員数は目下、100万人。しかし100万人を超えると一気に加速度がつくので、1000万人も夢ではない」と自信を見せている。mixiに匹敵する、そしてそれ以上のSNSは、果たして携帯サービスから生まれてくるのだろうか。

photophotophoto EZ GREEのサービス画面イメージ。端末で撮影した動画をアップロードし、共有できる機能なども備わる

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