NetFrontやOperaが台頭する日本の組み込みフルブラウザ市場に、ニューフェースとして登場したのがピクセル・テクノロジーズだ。ドコモの「N904i」に、最新バージョンとなるフルブラウザの搭載が決まったことを受け、同社の首脳陣がブラウザの機能やコンセプトについて説明した。
ピクセル・テクノロジーズの製品は、WordやExcel、PowerPointなどのオフィス文書を携帯で閲覧可能にするドキュメントビューワが、多くのメーカーの日本向け端末に搭載されているが、主力製品であるフルブラウザの搭載はなかなか実現しなかった。ドコモ端末へのフルブラウザ搭載は「sigmarion III」以来となり、これを契機に日本市場でのシェア拡大を狙う。
CEOのイムラン・カーンド氏は、「これからのKeitai Browsing 2.0では、トータルなコミュニケーションが核心になる」と説明。同社のソリューションを使えば、(N904i向けに提供した)PC向けサイトの閲覧機能だけでなく、ビデオやHTML、Flash、通信、チャット機能を組み合わせた形で提供できるとアピールした。
海外ではNokia、Samsung、Motorolaなどの大手端末メーカーや、KTF、SK Telecom、China Mobile、Cingular、Verizon、Vodafoneなどのキャリアがパートナーに名を連ね、ピクセル製品が搭載された端末の出荷台数は、1億台を超えるとカーンド氏。同社のブラウザを使ってコンテンツを提供する企業も増えており、Marie Claire、Sony BMG、AP、BBC、UNIVERSALなどの採用実績があるという。アリ・アドナン社長は、日本市場でもポータルサイト用ビューワとしての利用を提案しているといい、組み込み用途にとどまらない提供を促進したい考えだ。
アドナン氏は、ピクセルのフルブラウザには3つの大きな特徴があると説明。1つは同社のドキュメントビューワでもおなじみの「超高速ズーム」だ。ズームを高速に行えるため、サイト全体を縮小で確認した上で、閲覧したい部分を拡大するという使い方が可能になる。「これまで、横から縦、横にスクロールしていたPC用Webサイトに奥行きが加わる」(ピクセル・テクノロジーズ プロダクトマーケティング部の鈴木優氏)
2つ目は、画面上にソフトウェアキーボードやツールバーを表示できる「ダイナミックUI」。携帯のキーでは面倒なURLの入力を容易に行え、十字キーと決定キーを使ったPCライクなWeb操作が可能になるなど、サイト閲覧時の利便性が向上するという。
3つ目は、「オリジナル」と「携帯」から選べるレイアウトモードだ。PC向けサイトと同じように表示するオリジナルレイアウトは、ズームを駆使してストレスなくサイトを閲覧でき、携帯レイアウトは携帯の横幅に合わせたレイアウトに再構成されるため、上下スクロールのみでコンテンツを閲覧できる。
今回、ドコモの最新フラッグシップモデルに搭載された同社のフルブラウザだが、ミッドレンジモデルへの搭載も可能だという。ドコモの端末でいえば、同社のドキュメントビューワを搭載する端末なら実装可能で、組み込みにかかる時間も「N904iで数日程度」と短期間で対応できるとした。
ピクセル・テクノロジーは、N904iへの搭載を皮切りに、他キャリア端末にもフルブラウザの採用を働きかけたい考えだ。
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