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» 2008年01月07日 23時59分 UPDATE

ITmediaスタッフが選ぶ、2007年の“注目ケータイ”(編集部園部編):通信速度とディスプレイ解像度の重要性を改めて認識した2007年

2006年の注目端末には“全部入り”のボーダフォン向けシャープ端末「904SH」を挙げたが、2007年はあまり心ときめく端末がなかったというのが正直な感想だ。ただ間違いなく言えるのは、高速な通信と解像度の高いディスプレイは正義だ、ということである。

[園部修,ITmedia]

 2006年10月に始まった番号ポータビリティ制度によって、携帯電話ユーザーの流動性は高まり、携帯電話キャリア間の競争はさらに激化する──。そんなシナリオが描かれていた2007年は、多様化するユーザーの好みになんとかマッチする端末を出そうと、キャリア各社は次々と端末を投入した。

 2007年に発売されたコンシューマー向けの端末は、NTTドコモが40機種、KDDIが35機種、ソフトバンクモバイルが32機種、ウィルコムが7機種、イー・モバイルが7機種の計121機種(いずれもカラーバリエーションの追加や法人向け端末はのぞく)。ざっとそのラインアップを眺めてみたが、いまひとつ個性的な端末が少なかったように感じる。ものすごく物欲をそそられる端末はなかった。

 しかし、これまでの筆者の携帯電話に対する認識を変えてくれた端末はいくつかあった。特に高速な通信速度と解像度の高いディスプレイは、2007年の携帯端末にまつわる大きなトピックだったと思う。データ転送速度が速いHSDPAが一般的になった2007年は、Webページが高速に表示されるようになり、携帯電話でのインターネット接続がようやく実用的なものになったと感じられた。またVGA以上の解像度を持つディスプレイを搭載した端末が増えたことから、ナビゲーションアプリの地図や写真がきれいに表示できるようになっただけでなく、画面のフォントの高精細化が進み、画面表示が格段と美しくなったことも特筆に値する。

 今回はこうした高速・高解像度の機種を中心に、2007年に印象に残った端末を振り返ってみたい。

手になじむサイズにHSDPAとフルワイドVGA液晶を搭載した「SH905i」

Photo 「SH905i」

 2007年に登場した端末の中で、もっとも印象に残ったのはドコモのシャープ製端末「SH905i」だ。ドコモの905iシリーズには、ヨコモーションの進化系「F905i」や“VIERA”の名を冠したWオープンスタイルの「P905i」など個性的な端末もあったが、FOMAハイスピード(HSDPA)による高速通信やワンセグ、GPS、国際ローミングなど、905iシリーズに必須の機能をすべて搭載しつつ、厚さ16.9ミリ、幅48ミリのボディを実現したSH905iが、もっとも手になじんだからだ。

 この端末は、今までと異なる形状ではなく、一般的な折りたたみや回転2軸型のボディでも、まだまだ携帯電話を使いやすくできる余地があることを再確認させてくれた。高さは112ミリと長いため、けっしてコンパクトとは言えないものの、端末の厚さと横幅のバランスがよく、キー操作がとてもしやすかった。

 また、なんといっても心地よかったのが、下り最大3.6Mbpsでの高速通信が可能なFOMAハイスピード(HSDPA)に対応しており、Webブラウズやデータのダウンロード時のストレスがほとんどないこと。待ち時間の少なさは、それだけで使いやすさにつながる。

 さらにフルワイドVGA(480×854ピクセル)ディスプレイのメリットを最大限に生かした解像度の高い美しいフォントを搭載していたことも大きなポイントだ。SH905iには標準のLCゴシックのほかにSH平成明朝とSHクリスタルタッチという3種類のフォントが搭載されており、好みに合わせて切り替えられるのだが、個人的にはSH平成明朝が気に入った。SH平成明朝で見るiモードサイトやWebサイトは、今までとは違うサイトを見ているような端正なイメージで、画面の高解像度化の恩恵をもっとも強く感じた部分の1つだ。

 高速な通信速度と美しい高解像度ディスプレイ──。これらは携帯電話でネット接続機能を利用する際には欠かせない要素だ。それをシリーズトップクラスの細身なボディに凝縮した点を評価したい。

サイクロイドスタイルの1つの完成形──「920SH」

Photo 「920SH」

 シャープ製端末が続くが、シャープのAQUOSケータイ「920SH」の完成度の高さも2007年の端末の中では目を引いた。

 携帯電話でのWebブラウズや映像視聴、ワンセグ視聴が一般的になるにつれて、端末のディスプレイを横向きに使うための“解”は数多く提案されてきたが、個人的にサイクロイドスタイルは“現時点で”もっとも携帯電話に適したディスプレイの回転方法であると感じている。

 十字キーやダイヤルキーの操作性はそのままに、ディスプレイだけをスマートに横向きにできる方法は意外と少ない。回転2軸型ではダイヤルキーでの操作がしにくくなくなってしまうし、パナソニック モバイルコミュニケーションズのP905iや、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの「W44S」のように、ディスプレイを横に開くと十字キーの上下と左右が入れ替わってしまい、操作性が変わってしまう。

 そのサイクロイドスタイルに古くから取り組み、昇華させてきたのがシャープとソフトバンクモバイルだ。920SHでは、従来のAQUOSケータイユーザーから指摘されてきた不満や意見を参考に機能強化や改善が図られており、かゆいところにも手が届く快適な操作性を実現した。ただ横長の画面でワンセグが視聴できるだけでなく、画面を横向きにしたままの状態でメニュー操作やメールの作成、閲覧などもできる“横ユーザーインタフェース”ももちろん完備している。ディスプレイを横にしたときに起動する機能も、ワンセグだけでなくカメラやメール受信ボックス、ブラウザなどを選べ、ユーザーのさまざまな使い方に合わせてカスタマイズできる。

 もちろん3Gハイスピード(HSDPA)での高速通信が可能な上、他社に先駆けていち早くフルワイドVGA(854×480ピクセル)表示を実現したことなど、特筆すべきポイントも多い。すでに発売中のAQUOSケータイの中で唯一国際ローミングに対応している点も魅力と言えるだろう。

スマートフォン、防水ケータイ、デザインケータイ──“光る”ものを持った端末

Photo 「EM・ONE」

 以上の2機種に加え、高速かつ高解像度の端末で印象に残っているのがイー・モバイルの「EM・ONE」である。これもまたシャープ製品で恐縮だが、EM・ONEはWindows Mobile搭載端末に対する印象を大きく変えてくれた。

 これまでWindows Mobile搭載端末といえば、ウィルコムの「W-ZERO3」シリーズが代表格であり、筆者のWindows Mobile搭載機の印象も、イコールW-ZERO3[es]の印象だった。つまり、何をするにも時間がかかる、キーが押しにくい、快適な環境は自分で作らなくてはいけない、といったものだ。しかしEM・ONEを使って分かったことが1つある。依然として動作が重く、よくフリーズして、けっして使い勝手がいいとは言えないWindows Mobileだが、通信速度が速ければWebブラウジングはそれなりに快適に行えるということだ。2007年の4月〜5月にかけては、EM・ONEを使って家や外出先でよく調べ物やちょっとした軽作業をしていた。

 またEM・OMEは、Windows Mobile 6搭載版の「EM・ONE α」発表時に、Windows Mobile 6へのアップグレードサービスを提供してくれたこともうれしかった。2年契約を結んでEM・ONEを購入したユーザーは多かったと思うが、その機種変更が容易ではないEM・ONEユーザーに対して、1万円でOSをアップグレードしてくれたのだから、イー・モバイルの判断は高く評価したい。

Photo 「iPhone」(左)と「iPod touch」(右)

 ただ、この“Windows Mobileって結構使えるかも”という感覚は、「iPhone」とそれに続く「iPod touch」の登場で見事に瓦解してしまったのも事実だ。iPhoneはGSM携帯だったため、携帯電話のネットワークを利用した通信は低速だが、これが3Gに対応していたら、と思わせるだけの魅力があった。

 特にiPhoneやiPod touchに搭載されている「Safari」の出来が秀逸で、フルブラウザとしては初めて“とても使いやすい”と感じた。現在自宅で手軽なネットアクセス端末として利用しているのは、EM・ONEではなくiPod touchだったりする。

Photo 「W52CA」「F703i」「F704i」

 また2007年は、特殊ではない、一般的な携帯電話の防水対応が進んだ1年だったようにも思う。カシオ計算機の「W52CA」や、富士通の「F703i」「F704i」のように、ごく一般的な、普通のユーザーが持つ端末が防水機能を備えるようになったことは特筆に値するだろう。

 従来は、防水といえば「G'zOne W42CA」のような、ごっついアウトドア系の端末のための機能のように考えられていたが、携帯電話の利用シーンには水分の多い場所がけっこうある。携帯電話の水ぬれ故障は、本当にちょっとしたことで起こってしまうものなのだ。その点、雨の日などにも気兼ねなく携帯が使えるのは、ある意味当たり前のことだが、実はすごく画期的なことなのだ。今後は腕時計のように、携帯電話の防水機能は普通に実現されるものになっていくのだろう。

Photo 「INFOBAR 2」

 最後に、全般的にあまり元気がなかったau端末の中で、今年唯一欲しいと思った端末も挙げておきたい。それは「INFOBAR 2」だ。当たり前すぎるかもしれないが、あの独特のデザインや触覚に訴える形状は、写真で見たときよりも実物に触れたときに衝撃を受けた。開発者インタビューにもあったとおり、その実現には大変な苦労があったようだが、手に持ったときの自然な感じがなんとも心地よい。これでディスプレイがワイドVGA以上の解像度を持ち、EV-DO Rev.Aに対応していたら、間違いなく買っていたと思う。2008年のKDDIには、さらなる奮起と飛躍を期待したいところだ。

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