「モバイルSaaSはiPhoneなしに考えられない」――ソフトバンクの中山氏(2/2 ページ)

» 2008年10月10日 07時10分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
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ビジネスウェアもiPhone 3Gに対応

 ビジネスウェアのiPhone 3G対応も進みつつあり、SaaS型CRMサービスとして知られるSalesforceやグループウェアソフトのIBM Lotus Notes、企業データの分析ツールのOracle Business Indicatorsなどは、すでにiPhoneで利用できる。中山氏はその特徴をデモを交えて紹介した。

  • Salesforce Mobile for iPhone 3G

 Salesforce Mobile for iPhone 3Gは、SaaS型の営業支援ツールSalesforceのデータをiPhone 3Gで閲覧可能にするWebアプリケーション。PC側で施したカスタマイズがiPhone側に反映されるなど、PCで利用するのと同じ感覚で利用できる。

 現在は新規商談の作成や、すでに入力した商談の削除・変更といった編集機能が省かれた、閲覧のみの暫定版となっているが、今後、フル機能を装備したバージョンが登場する予定だという。

Photo 商談履歴のリストはフリック(画面上で指を払うようにすべらせる操作)でスクロールでき、見たい情報にすばやくアクセスできる。出先でも営業履歴の詳細を確認可能だ

  • IBM Lotus iNotes

 IBM Lotus iNotesは、電子メール機能やスケジュール管理、データ共有などの機能を備えたグループウェア、Lotus Notesの情報をiPhone 3Gから利用可能にするWebアプリケーション。

 受信メールに添付されたPowerPoint、Word、Excel、PDFなどのビジネスデータは、iPhone内のビューワ機能を使って閲覧でき、「iPhone 3Gを傾ければ、自動で横画面表示に切り替わる」(中山氏)など、PCのような横画面でデータを確認できる。

 なお、現バージョンは完全に日本語化されておらず、(1)コンタクトの姓名が逆に表示される (2)ファイル名が日本語のデータを添付できない などの制限がある。これは次期バージョンのLotus iNotes 8.5で改善されるという。

Photo IBM Lotus iNotesの起動画面(左)。受信メールの添付ファイルは、iPhoneのビューワ機能を使って確認できる(中)。スケジュールも各種予定が色分けされた状態で表示される(右)

  • Oracle Business Indicators

 企業が持つさまざまなデータベースを1つのサーバ(BIサーバ)に集約して多角的な分析を行い、その結果をiPhone上で閲覧可能にするのが、iPhone 3G向けのネイティブアプリ「Oracle Business Indicators」だ。

 「これまで、こうしたデータはPCでしか閲覧できなかったが、iPhone 3Gを使えば外出先でも情報を閲覧できる」(中山氏)

Photo 見たいリポートをクリックすると、視覚化された分析情報を確認できる

  • CACHATTO for iPhone 3G

 CACHATTOは、各種のメール規格やグループウェアが混在する社内環境下で、それぞれのサービスをスムーズに利用できるようにする法人向けソリューション。企業内に1台のCACHATTOサーバを入れるだけで利用できるなど導入も容易で、メールサーバやグループウェアが混在する会社にはおすすめのソリューションだという。CACHATTO for iPhone 3Gは、このサービスをiPhone 3Gで利用可能にするWebアプリケーションだ。

 iPhone 3GでCACHATTOにアクセスすると、どのメールサーバのメールを利用するのかを選ぶ画面が表示され、任意のメールサービスにすばやくアクセスできる。グループウェアも同様で、例えばプロジェクトごとに異なるグループウェアを利用している場合でも、容易に情報にアクセスできる。

Photo CACHATTO for iPhone 3Gのユーザーインタフェース。“予定”や“メール”といった目的から利用するサービスにアクセスできるのが便利だ

ケータイの概念を捨て、新時代のモバイルSaaSを

 日本では通信インフラの高速化や端末の高機能化が急速に進んでおり、それを生かしたサービスの登場が期待されている。iPhone 3Gは、こうしたサービスを生み出すきっかけになりうるというのが中山氏の考え。同氏が「面白いサービス」として紹介した「セカイカメラ」は、まさにその可能性を示すものと言えるだろう。

 セカイカメラはiPhone 3Gをビューファインダーとして使い、カメラを通して見たものに貼り付けられたタグを通じて、さまざまな情報を得られるようにするというサービス。例えばファインダー越しにコンビニエンスストアを見ると、そこには“今日の新商品”といったタグが付いており、そのタグからさらに詳細な情報を得られる――といった世界が実現する。「こうしたユニークなサービスをSaaSで提供できる。(従来型の)ケータイの概念を捨てて、新しいモバイルSaaSを考えた方がこれからの利益につながる」(中山氏)

 2008年を“インターネット元年”と位置付けるソフトバンクモバイルは、iPhone 3Gやスマートフォンを軸に、モバイルSaaSの新たな可能性を模索する考えで、中山氏は「いかにGPSと連動するか、Youtubeなどの動画や3Dグラフィックと連動するか――といった、新しいモバイルSaaSを開発してほしい」と訴えた。

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Photo ソフトバンクが提案するiPhone 3Gの業務利用例

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